yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

哲学・思想・文学

栗林隆著「ワヤン・クリ オン・ザ・ボーダー」インドネシア、ワヤン・クリの世界 in 『翼の王国』2015年2月号

『翼の王国』ANAの機内誌。今回の東京行きの帰りの便でこの記事を読んだ。今私が興味を持っているテーマと奇しくもシンクロする内容だった。「ご自由にお持ち帰り下さい」とあったので、持ち帰った。ずっと以前に、山口昌男著『文化の詩学』(岩波現代選書)…

イギリスの演劇学会へプロポーザル提出

6月にイギリスのCentral Lancashire大学で開催される「Theatre and Performance」という学会にプロポーザルを送った。締め切りを今日だと思っていたら、明日だったことに気づいたけど、早い分にはまあいいか。一日で仕上げるつもりが、結局まる二日かかった…

三島由紀夫が歌舞伎十八番を演出するとしたら『文芸別册増補新版 三島由紀夫』(河出書房新社2012年)

増補新版 三島由紀夫(文藝別冊/KAWADE夢ムック)出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/04/19メディア: ムック クリック: 1回この商品を含むブログを見るこの中の中村歌右衛門(六世)との対談(昭和31年=1956年)の中での彼のことばが興味深い。三島曰…

坂部恵著『モデルニテ・バロック:現代精神史序説』(哲学書房、2005年刊)

坂部恵(1936-2009)さん、もう亡くなっておられた。『仮面の解釈学』を読んだのはずいぶん前。ところどころに面白いとおもう箇所はあったものの、よく分からずそのまま放置していた。非常に評価の高い著書で、その値打ちのほどはいわれなくても分かったもの…

堂本正樹著『回想 回転扉の三島由紀夫』文春新書 2005年11月刊

先日図書館で『ダンスマガジン』を借り出した際、ついでに(?)この『回想 回転扉の三島由紀夫』も借り出した。新書版なので、あっという間に読めるはず(だったのだ)が、なにか人の秘めごとを覗き見しているような気持ちにさせられ、結局2日もかかった。…

三島由紀夫著『絹と明察』 松岡正剛の千夜千冊1022夜

今までに読んだ三島論の中でもっとも示唆に満ちていた。2005年に書かれていて、いつでもネットで読めたのに、つい先ほどまで知らなかった。「千夜千冊」は関心のある本や関心のある人についての論評に行き当たったときに読む程度だったが、周りには結構ファ…

守屋毅著『近世芸能興行史の研究』を入手

今日は以前の勤務先の同僚だった方と神戸の「ラ・スイート神戸ハーバーランド」でランチをした。フレンチは2年ぶり。食べログの評価が高いお店で、なかなか予約が取れないと聞いていたのだけど、ラッキーだった。評価通り、とてもレベルの高いフレンチだった…

守屋毅氏の芸能史

すでに鬼籍に入られている。中世から近世にかけての芸能史の先駆けを築いた方である。1991年に47歳という若さで亡くなった。本当に惜しい。民衆芸能の視点から歌舞伎へのアプローチをしていた服部幸雄氏も既に亡い。敬称略としたいのだが、このお二人にはど…

ジャーナルへの論文掲載

今年3月に英国のチェスター大学で発表したNANAについての原稿、 “Masquerade in NANA: a Discursive Space in Japanese Shojo Manga” をジャーナルに掲載しないかという話が英国の出版社からあった。それも哲学系のジャーナルのようなので願ってもない。丁…

今後のプロジェクト、大衆演劇と川上貞奴

辞めてからやりたいことはいくつもあるのだが、一つは旅芝居(大衆演劇)の過去、現在、未来へとつながってゆくその意味、重要性を調べたいと考えている。それは歌舞伎をはじめとする古典芸能を含む芸能全般の由来のみならず、日本の芸能史そのものを渉猟す…

アメリカの「Southwest Popular / American Culture Association」での発表

昨日の日本時間午後11時(アメリカ東部時間午前9時)にこの学会発表のプロポーザルを提出した。締め切りが15日だったので、ぎりぎりである。さきほど、私のgmailアカウントに発表許可の返事がきた。うれしいのだけれど、これからペーパーを書かなくてはなら…

川上貞奴と音次郎の伝記

川上貞奴を次のテーマのひとつにしようと考えて、近所の図書館で関連書を探したら、わずか五冊のみだった。そのすべてが1984、、1985年出版である。どうもNHKの大河ドラマになること(「春の波濤」1985年)をみこんでの出版だったのかもしれない。江崎惇著 …

沖浦和光著『陰陽師の原像 民衆文化の辺界を歩く』岩波書店 2004年刊

前の記事に書いた『旅芸人のいた風景』と上記の本二冊を読み比べ、それらで提出されている「仮説」に興奮した。先日歌舞伎座で染五郎、海老蔵、勘九郎演じる『陰陽師』をみたばかりだった。でもあれがロマンチック、あえていえばマンガチックだったのに比べ…

沖浦和光著『旅芸人のいた風景』文春新書 2007年刊

箕面に幼いころ住んでいたという沖浦氏、歌舞伎好きの父に連れられて池田の芝居小屋に頻繁に行ったという。もちろんこれは明治村に移転した「呉服座」(くれはざ)だろう。「呉服座」は「ごふくざ」として池田に「復活」している。播州の東高室というところ…

谷崎潤一郎作品は好きになれない

ここ2ヶ月ばかり谷崎潤一郎の作品とつきあってきた。先週末に40枚弱のささやかな論文を書き終え、さきほど註をつけた草稿が出来上がった。で、分かったこと。どうしても谷崎を好きになれない。でも谷崎論は、例えば三島由紀夫について何か書くよりも、はるか…

二つの「実録」本『大衆演劇への旅』(鵜飼正樹著)と『安部公房とわたし』(山口果林著)

この二つに同時期に目を通して、「実録」本のあり方を考えさせられてしまった。 もちろん、性質はかなり違ったものであるが、今もその本がでることで少なからずの影響を、遺った人間に与えるという点での共通点がある。どこか覗き見的な欲望を刺戟するなにか…

『春琴抄』と『源氏物語』の英訳

谷崎潤一郎の『春琴抄』、『陰翳礼讃』をもとにした劇、『春琴、Shun-kin』をみて、色々と考えさせられた。英国人の演出による芝居だったので、かなり不満が残った。それをきっかけに『春琴抄』、その他の谷崎作品を読み直して、あらためて谷崎と『源氏物語…

長谷川伸作品の構成の緻密さ

『長谷川伸傑作選』中の『一本刀土俵入』を読み返し、茂兵衛がお蔦に向かって、「わしは、故郷のお母さんのお墓の前で横綱の土俵入りをして見せたいんだ、そうしたら、もう、わしは良いんだ」という箇所で、図らずも泣いてしまった。芝居では泣くところまで…

「脇役」、『池波正太郎自選随筆集2』より

「自選随筆集」は3巻全部揃えて、暇があればぱらぱらと読み返している。以前に読んだところも、再読すればまた違った感興がある。優れた随筆はそういうものだろう。向田邦子さんの随筆もそのようにして、何度も読んだっけ。どの章、項目もそのひとつひとつ…

ルス・レンデル(Ruth Rendel) のサスペンス小説『Vault』(2011) 4月10日

イギリスから帰国する際、トランジットのスキポール空港のゲートでのイミグレーションの手続きがあまりにも遅々として進まず、2時間もイライラ待ちするくらいならとゲート傍の売店で購入したのだ。でもその間も、機内でもあまり読めず、結局帰国してから読…

チェスター大学での発表終了

現在、チェスターからロンドン行きの電車に乗ったところ。学会は今日(26日)9時30分から始まり、28日の午前中までだが、自分の発表が午前中に終わったので、今晩、もしくは明日からの2,3日は芝居三昧で過ごすつもりである。3年前にイギリスのカーディフ大…

池波正太郎の『人情紙風船』評

今年の2月に前進座の『赤ひげ』を京都の南座でみて、あまり感心しなかった。その記事に、ずっと以前に観た前進座役者による『人情紙風船』(1937)がすばらしかったと書いた。ずいぶん昔、京都文化博物館での名画再上映の特別期間中に観たのだが、残念ながら再…

『池波正太郎自選随筆集下巻』朝日新聞社1988年刊

昨日は、読まずにそのまま図書館に返すつもりの池波正太郎の『雲ながれ行く』を、結局は読んでしまった。今月26日に迫ったのチェスター大学での発表原稿を仕上げなくてはならないのに。冒頭が面白く、読み始めたら途中でやめることができなかった。いきなり…

「知のトリックスター」を生きた山口昌男さんの訃報

10日に亡くなられたという。最近はメディアでもおみかけしないので、すっかり引退されたのかと思っていた。でもそれは彼らしくないし、どうされているのか心配していた。初めて読んだ彼の著作、『歴史・祝祭・神話』は文化人類学がこんなにおもしろいものだ…

今月末のイギリス行き

今月22日から31日までイギリスに行く。チェスター大学での発表があるのだが、なんとなく気鬱で、決まったときの元気はどこへやら、気が進まない。ロンドンまでの切符とホテルを4、5日前にやっと手配した。ぎりぎりだったので、29日、30日の帰国便がとれな…

吉本 隆明;江藤 淳 (著)『文学と非文学の倫理』中央公論社2011年初版刊

啓発され、同時に憂鬱にもさせられる対談集である。文学と非文学の倫理作者: 吉本隆明;江藤淳出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの戦後日本を代表する、そしておそらくはこれからも超えられるこ…

大岡敏昭著『幕末下級武士の絵日記』相模書房平成19年初版刊

著者は住宅史学、都市計画学が専門のようで、全国各地を回っているときに、この種本になった本、『石城日記』に出会ったのだという。幕末下級武士の絵日記―その暮らしと住まいの風景を読む作者: 大岡敏昭出版社/メーカー: 相模書房発売日: 2007/05メディア: …

テレサ・デ・ローレティス(Teresa de Lauretis)著Practice of Love (1994) ロンドン大学出版局

このタイトル、どう訳していいのか分らないのでそのままにしている。私が拠っている精神分析批評家、特にフィルム理論、演劇理論の専門家の一人である。他にも何人かラカン派で論文の援用によく使わせてもらっている批評家が何人かいるが、この人が一番しっ…

蔵田敏明著『池波正太郎が歩いた京都』淡交社、2002年刊 

またもや図書館から九冊もの池波関連本を借り出してしまった。そのうちの三冊が面白かったので、古書でも注文をした。表題にした本と『池波正太郎と歩く京都』(新潮社、2010年)、そして『池波正太郎の世界』(平凡社、1998年)である。すべて写真つきの小…

池波正太郎の随筆と「鬼平」

『食卓の情景』に始まって、彼の随筆を七冊ばかり読んできた。先日台東区立図書館で読んだ『わが家の夕めし』もアマゾンで手に入ったし、それと同系列の講談社刊の随筆、『わたくしの旅』も『新しいもの古いもの』も宝塚図書館で借り出して読んだところであ…