2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧
救いのない業の深さを描いてみごとだった。祈りも鎮魂の念も猟師を救うことはできない。この絶望感。 見終わったあと、常なら舞い終わったシテの姿にほっとし、緊張が解けるところであるけれど、そうはならなかった。うちに籠められたエネルギーが放出されず…
公演チラシ 「謎」が解けた 呂勢太夫の語りと清治の三味線 咲太夫の語りと燕三の三味線 人形遣い手の充実 公演チラシの演者一覧とあらすじ 公演チラシ 公演チラシをアップしておく。 「謎」が解けた 『仮名手本忠臣蔵』、このように「大序」からの通しで見る…
堺能楽会館来歴 三人の人間国宝の出演 演者と解説 たおやかな天女 「東遊びの数々に」 白龍の喪失感 堺能楽会館来歴 開演前に能楽堂のオーナーである米田氏より、堺能楽会館の来歴の解説があった。当時、米田氏のご兄弟、五人が観世流を習っておられたため、…
能公演ではまず、「京都観世会例会」。番組は能が梅田嘉宏師シテの『賀茂』、河村和重師シテの『夕顔』、橋本雅夫師シテの『藤戸』の三本、それに茂山七五三、茂山宗彦、網谷正美各師共演の狂言『文荷』が加わっている。 次に「大江定期能」公演。能は大江広…
なんという過剰!ただ、圧倒される。それが黙示録的宇宙を描出している点で、映画、『ツリー・オブ・ライフ」』を想起させた。ただ、『ツリー』の方が「静謐」に収斂するのに対し、こちらはあくまでも過剰に終始するという違いはあったけれど。 過剰な断片の…
この記事は、矢部万紀子なるコラムニストがPRESIDENT Onlineで今年の2月22日に配信した『美智子さまという奇跡』という美智子皇后ヨイショの連載記事を加工したものらしい。表題は、「眞子さまの結婚問題に誰もが口を挟むワケ」となっていて、副題が上記の「…
新白鸚と新幸四郎の「高麗屋襲名興行」。新染五郎の金太郎君はおそらく学校があるので、欠席。ちょっと残念。とはいうものの、高麗屋襲名興行はすでに京都南座で昨年11月に、また歌舞伎座では今年1月に見ている。それらに比べるといかにも貧相だった感は否め…
夜の部は『祇園祭礼信仰記』と『近頃河原の達引』の二本立て。『祇園祭礼信仰記』は二時間近い長丁場な上、歌舞伎では見せ場になる「爪先鼠の段」が文楽では「見せ場」にならない(?)所為か、そのまま帰ってしまう人も結構いたような。残念。順序を逆にし…
非常に興味深い内容だった。迷わず録画した。 「伊勢大神楽」とは?——貴重な記録映像 番組紹介 伊勢大神楽講社のHP 舞と曲 伊勢大神楽と能 「伊勢大神楽」とは?——貴重な記録映像 400年の歴史を持つ「伊勢大神楽」の貴重な記録である。伊勢は黎明期の能楽に…
最近の皇室のスキャンダル。私のように皇室にそう興味がなく、右から左へと見過ごしてしまっていた者でも、ネットニュースをチェックするようになっている。とはいえ、腹立たしいことのオンパレードで、精神衛生上良くない。ただ、今回のスキャンダルのおか…
例によって、「銕仙会」の能楽事典から曲解説を引用させていただく。 <内容> 作者 観世信光 場所 京都一条大宮 季節 春 分類 三番目物 <概要> 僧侶の一行(ワキ・ワキツレ)が京都 一条大宮に至り、由緒ありげな邸宅で梅の花を観賞していると、一人の女…
凛とした美しい元号、「令和」に決まってよかった。居住しているマンションの広報誌の4月末発行分の巻頭文が私の当番になっていたので、令和に因んだものにした。1月の担当分では「人生百年時代、観劇の薦め」なんてのを厚かましくも書いたので、その続きで…
演能の前に歌人、林和清氏の「西行にとって桜とは何か」をテーマとした解説があった。「西行はなぜ出家したのか」、「西行はなぜ予言した日に死ぬことができたのか」をめぐっての解説はとてもわかりやすく、有意義だった。西行(1118-1190) という人への興味…
アルゼンチン出身のピアニスト、ラウル・ディ・ブラシオのバラード曲。衣装は淡いブルーの涼やかなもの。ピンク衣装を「春よ、来い」のためにとっておいたとすれば、このブルーの衣装はこれから寒くなる季節、秋を表象しているのだろう。 ショパンのバラード…