yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

哲学・思想・文学

芳賀徹氏「あらためて詩歌の森へ」in 連続講座「芸術は何処へ?」第8回@京都府立芸術会館8月27日

芳賀徹氏の俳句についてのめっぽう楽しいお話と片山九郎右衛門さんのこちらもめっぽう楽しいお話と仕舞とが合わさった超豪華な講座だった。ああ、前の7回を逃したのが悔やまれる。とはいうものの、この回が最も型破りだったのだろうと、講座の全体をみわたし…

横道萬里雄著『能劇の研究』(岩波書店、1986年刊)

横道萬里雄氏の能楽研究の集大成とでもいうべき書。図書館から借りだし、間もなく返却期日がくるので、改めてスキミングしている。とはいえ、ここに書かれていることを読み込み、消化するにはさらなる時がかかる。古書で入手しようかと考えている。能の研究…

【『繻子の靴』——テクストと演出】in『繻子の靴をめぐる対談@京都芸術センター10月30日

渡邊守章さんと木下歌舞伎主宰の木ノ下裕一さんとの対談形式のワークショップ。とはいえ渡邉さんのレクチャーに木ノ下さんが質問形式で補う形式が採られていた。私が渡邉さんをじかに拝見するのは1995年の吹田メイシアターでの『サド侯爵夫人』以来。この時…

弘前の文学者たち

弘前での二日目、洋館めぐりのついでに弘前市立郷土文学館に行ってきた。洋館の図書館に隣接する瀟洒な近代建築の建物。ちょうど「福士幸次郎展」が開かれていた。そのチラシが以下。 さらに、以下が文学館サイトの情報。 第40回企画展「福士幸次郎展」 福士…

弘前カルチャー

東北に行くことは仙台を除いて今までなかった。あの震災の後、一度は行きたいと願ってきたのだけど、機会がなかった。先だっての康楽館での「劇団悠」観劇、往きは青森から高速バスで小坂まで行ったのだけど、帰りは十和田南駅から弘前に出て、一泊、その後…

岡本綺堂作「ズウフラ怪談」in『半七捕物帳』を記号論で読むと

まず「ズウフラ」なるものについての解説が冒頭に付いている。曰く、「江戸時代に遠方の人を呼ぶ機械があって、俗にズウフラという」どうも、メガフォンのようなものらしい。本文中にあった記載によると、「長さは三尺あまりで、銅でこしらえた喇叭のような…

「青空文庫」を読むのにKindle Whiteを購入

「青空文庫」インターネットの電子図書館。『半七捕物帳』の作品検索をしていて出くわした。今まで知らなかったのが口惜しい。これで『半七捕物帳』であれ何であれ、コピーライトの切れた文学作品が読める。青空文庫のサイトをリンクしておく。「青空文庫は…

岡本綺堂著『半七捕物帳』と記号論

映像化された「半七」だけでなく、原作にも当たっておこうと考えて、図書館から第5、6巻(光文社)を、そして2日前に第4巻を借り出し、読んでいる。第1、2、3巻は貸し出し中で、待たなくてはならない。今までに読んだところでは、テレビ脚本には原作…

プロポーザル提出

疲れた。数日かかってしまった。もっとすんなりと済むと思ったのは、浅はかそして軽率。ペン大の院生だった頃はプロポーザル作成なんて半日で済んでいたのに、それが年々時間がかかるようになってきている。英語環境にいないからもあるけど、それ以上に歳の…

国枝史郎著『神州纐纈城』(『昭和国民文学全集』第10巻)の怪奇世界

誘惑に負けて読んでしまった。三島由紀夫が高く評価しただけのことはあった。なによりもその文体がすばらしい。吉川英治の『江戸三国志』はその文体に慣れるのに時間がかかったけど、こちらはすんなりと馴染めた。劇作家としてスタートとしたという彼の経歴…

「『當麻』から『死者の書』へ」in 『演劇とは何か』(渡邊守章著、講談社学術文庫)

フランス演劇のひとであるとともに、能にも造詣の深い渡邊守章氏ならではの論考集。いろいろなところに寄稿したものを集めたもので、フランス演劇の演出家でもある彼が単なる研究者でないことがよく分かる。三島由紀夫の『サド侯爵夫人』を演出され、フラン…

『江戸三国志』(吉川英治著、講談社刊、1982年)の世界

文庫本になっているものでは全3冊。新聞小説だったようで、とにかく長い。同著者の『三国志』はもっと長い。彼の著書の多くがこういう膨大なものである。昔の作家たちの胆力がいかにすごいか判る。読者を飽きさせないで惹き付けておくという手腕のみせどころ…

伝奇小説の系譜——唐から江戸、そして大正、昭和、そして現代へーー

昨日、松竹の歌舞伎サイトで、染五郎が4月に夢枕獏作『沙門空海唐の国ににて鬼と宴す』が原案の新作歌舞伎、『幻想神空海』を打つことを発見。タイトルからして伝奇だと判る。歌舞伎で『陰陽師』を舞台に乗せた染五郎。伝奇づいているのだろうと想像している…

物語文学の魅力

平安時代の物語文学というと、おおむね以下の作品になるのかもしれない。 • 910年以前『竹取物語』未詳 / 物語 • 成立時期不明(諸説ある)『伊勢物語』未詳 / 物語 • 951年頃『大和物語』未詳 / 物語 • 984年以前『宇津保物語』未詳 / 物語 • 989年頃『落窪…

懐かしい小学館の「日本古典文学」シリーズ

小学館の「日本古典文学」シリーズには、アメリカの大学院にいたころ、ずいぶんお世話になった。私のいた大学には East Asian Studies があったので、大学図書館のアジアの、特に日本、中国の文献はとても充実していた。「日本古典文学シリーズ」では、岩波…

『とりかへばや物語』(作者不詳)の現代性 

先日図書館に小学館日本古典文学シリーズ内の『今昔物語集』を借り出しに行った折、すぐそばにあった『住吉物語・とりかへばや物語』が目にとまった。中をぱらぱらみてみると、面白そう。『とりかへばや』についてはアメリカにいた頃、私の指導教授がなんど…

『陰陽師』の自然描写

『陰陽師』(夢枕獏著)自体はどちらかというとライト・ノベルにカテゴライズできるだろう。安倍晴明が都に現れる不可思議な現象、謎を解明して行くという体裁をとっている。また、「謎解き」という点では推理小説に分類できる。このシリーズが人気を博した…

夢枕獏著『陰陽師』の背景

夢枕獏の『陰陽師』、文芸春秋版を読んだ。あと「酔月の巻」、「醍醐の巻」、「鳳凰の巻」も借り出しているので、この一週間で眼を通すつもりにしている。気づいたのは、『今昔物語集』にでてくる話を下敷きにしている章が多かったこと。ほとんど?この『今…

シカゴの学会発表には『陰陽師』をつかうことに

11月末のロンドンでの「ポップカルチャー学会」では大衆演劇をテーマに発表した。ここ7年間にわたり50劇団以上みてきた大衆演劇と、歌舞伎の比較をした内容。それぞれの発生等を辿る歴史的考察が主眼。ただ、ヨーロッパでは(当然といえば当然だけど)オペラ…

ウェストミンスター大学での発表終了

21日の2時半から4時までの私のセッション、予定では三人のはずがエセックス大の人がキャンセルしたので、結局二人。持ち時間を20分以内に制限されていたのがかなり緩和され、DVDも少し長めに見ることができた。それで質疑応答にかなり時間が割かれた。今回の…

渡邊守章著『越境する伝統』ダイヤモンド社2009年12月刊

絶版だったので、古書店から入手。今の関心事と関係しているのがタイトルから察せられたので、どうしても欲しかった。渡邊守章さん(なんて気安く呼んで良いのか知らん?)と能との関わりが案外「遅かった」という記述が「能とその『外部』——観世寿夫の軌跡…

泉鏡花と『雨月物語』、そして三島由紀夫

『高野聖』についての当ブログ記事に、この作品に『雨月物語』との近似性を感じると書いた。それがずっと気になっていた。ネットで検索をかけてみると、私の漠然とした印象はそう的外れではなかったよう。鏡花が戯作にどっぷりと漬かっていたのは、その文体…

国際学会での発表準備

ロンドンのウェストミンスター大学で開催される国際ポピュラーカルチャー学会での発表準備に入った。プロポーザルが通ったという連絡をもらって、もう3週間近くになる。開催日は11月20、21日。発表内容は「大衆演劇(旅芝居)」。ポピュラーカルチャーをテ…

ロイヤル・タイラー著「おごれる光源氏」 in 『源氏物語国際フォーラム集成』源氏物語千年委員会 監修芳賀徹 非売品2009年3月刊

この『源氏物語国際フォーラム集成』、神戸市中央図書館の開架書架にあった。迷うことなく借り出した。「国際フォーラム」と名のつく「大会」はたいていが世界各地からの寄せ集め研究者の、かなり的外れの発表集成であることが多いのだけど(私見です)、こ…

学会へプロポーザル提出

今年の11月21、22日にロンドンで開催される「ポップカルチャーとポリティックス」と銘打った国際学会にプロポーザルを提出した。今月末が締め。もともとは去年3月に発表する予定だったものを手直しした。「大衆演劇」での発表は初めてになる。1年以上経って…

エマニュエル・トッド著『帝国以後:アメリカシステムの崩壊』(石崎晴巳訳、藤原書店、2003年)

やっと図書館で借り出すことができた。原題は『APRES L’EMPIRE: ESSAI SUR LA DECOMPOSITION DE SYSTEME AMERICAIN』。出版が「9.11」の一年後の2002年9月だったのが興味深い。和訳が出たのは2003年4月30日で英訳よりも半年早かった。さすが日本。独・仏語本…

エマニュエル・トッド著『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』(文春文庫、2015)

複数のインタビュワー(オリヴィエ・ベリュイエ他)の聴き取りいう形式を採っている。2011年から2014年までに採録されたもの。エマニュエル・トッドの名は、『帝国以後』(2002)が出版されたた当時、西洋美術史専門の同僚から聞いていた。この著書でアメリ…

韓国の人気女流作家 三島由紀夫の「憂国」からの盗作認め謝罪、執筆活動の自粛を発表

ネットのニュース記事は以下。 韓国の著名な女性作家に、三島由紀夫の作品「憂国」からの盗作疑惑が持ち上がり、この作家は23日付の韓国紙の紙面で盗作を事実上認めた。作家は謝罪した上で執筆活動の自粛を発表、韓国きっての人気作家の不祥事だけに、韓国…

『るろうに剣心』にするか

6月下旬、イギリスで開催される演劇の国際学会での発表を諦めた。プロポーザルは去年の11月にアクセプトされていたので、残念。これで丸2年海外での発表をしていないことになる。まずい。かなり焦る。それのみならず、今頃はイギリスでの研究生活をスタート…

服部幸雄著『江戸歌舞伎の美意識』(平凡社、1996年)

さすが服部先生、彼の歌舞伎論の集大成的著作。それもどちらかというと、お堅くない方の。彼のものは歌舞伎を論じる場合「must」なので、何冊か揃えている。でも学術的なものがほとんど。この著書は、たしかに学術的ではあるけれど、その枠にのみ納まってい…