yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

仕舞の実演と解説が楽しかった能『菊慈童』in「KYOTO de petit 能」@京都観世会館 9月10日

今年になって腰を痛めてしまった上に、デルタ株蔓延で遠出をしにくくなってしまっていた。長時間に及ぶ場合は特に。「KYOTO de petit 能」は昨年お邪魔したきり、今回がやっと2回目である。午後7時から1時間半で終了なので、能が2、3本入るレギュラー公演よりも気は楽である。それに林宗一郎師とその一門の方々総出の若々しい、そして力のみなぎった舞台は美しいと同時にパワーをもらえる。何よりも楽しい。作品のチョイスにも能を見るのが初めてでも十分楽しめる工夫が施されていて、若い世代への普及を意図されているのがよくわかる。

そういえば、能の普及という点で、宗一郎師は色々な試みをされてきている。「みんなで『高砂』をうたう」というここ数年にわたる「大連吟」(京都・大阪・滋賀)の企画もその一つだし、他にも毎夏開かれる「面白能学館」なんていうのもある。一昨年の法政大学で開催された「能楽学会」においても登壇者がこの企画を賞賛しておられた。2020年から始まったこのpetit 能企画もその一環だろう。公演チラシの表・裏をアップしておく。

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字が極小なので、改めて解説部分をスクショしておく。

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ここにあるように、終了曲(舞台)がYouTubeで見られる。だから、「あの能はどんなんだったっけ?」というとき「復習」するのには助かる。YouTubeでは解説だけではなく、着付けなどの裏?の様子も能楽師の方々が実演されていて、非常に楽しい。とは言っても、能楽師に馴染みがなくてはあまりピンとこないかもしれない。だから一度この会に参加されて、目の当たりに生々しい?能楽師の方々の奮闘されるさまを実体験していただきたい。きっとハマります。

実際の舞台も素敵だったけれど、この日のハイライトはやはりその実演、解説部分だった。林宗一郎師と松野浩行師の若手能楽師二人による実演。宗一郎師が『菊慈童』中の仕舞部を切り取り、舞われた。所作を一つ一つ止めて(実際の舞台ではありえない)静止。それぞれの所作、その意味を丁寧に解説されたのは浩行師、ときどき宗一郎師。宗一郎師はその度ごとにちょっと不安定な体勢のままストップ。その度に会場から笑い声が。厳粛な表情のご本人からも思わず笑いがこぼれた。面なしなので、親近感がわく。この曲の雰囲気にふさわしいのどかさが、会場に広がった。

このお二人に加えて味方團師と樹下千慧師による能装束着付け次第がYouTubeに上がったのを見て、とても興味深かった(記事にあげている)けれど、舞台で間近に見る方がずっと教育的というか、実感として理解できた。有名な研究者が能の文学的背景を解説するという企画はあるけれど、こういう「ダイレクトに能に触れる」というのは、普通の舞台では少ないと思う。少なくとも私の経験ではほとんどなかったので、とても新鮮だった。

能って楽しいんですよ。よくわからなくても。でもいろんな決まりがわかればさらに楽しくなります。

この雰囲気のまま舞台に突入。シテを演じられたのは若いお二方よりさらにお若い樹下千慧師。「慈童」そのままに、軽々と、朗らかに演じきられた。上のチラシ裏に演者一覧が載っています。若手中心の舞台であることがわかります。

当夜、会館に入って驚いたのが観客の数。前に見たときよりもずっと多かった。おなじみというかよくお見かけする通の方々に加えて、若い層も以前より多くなっているように感じた。能普及にそれも若い世代に普及させるのに、こういう企画が役立っているに違いない。

YouTubeにアップされプチ能の仕舞、「舎利」をリンクしておきます。

www.youtube.com

 

当夜、会館に入って驚いたのが観客の数。前に見たときよりもずっと多かった。おなじみというかよくお見かけする通の方々に加えて、若い層も以前より多くなっているように感じた。能普及にそれも若い世代に普及させるのに、こういう企画が役立っているに違いない。