yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

日本では発禁の『Princess Masako: Prisoner of the Chrysanthemum Throne』 by Ben Hills ( TarcherPerigee, 2006/12/28)を注文した

うわさではこの本のことを聞いていたけれど、そもそも皇室にさほど興味がなかった頃のことで、読む気にはなれなかった。「今までに公にならなかった闇を暴く」という類の書物としては、色里を描いたArthur Golden著Memoirs of a Geisha (1997、Knopf )があり、アメリカの大学院クラスでも口の端に上ることはあったけれど、アカデミズムとは関係ないレベルで捉えられていた。Princess Masakoもそれと同類のものだという思い込みがあった。つまり、きちんとした「伝記」としては取り上げられないのだろうと思い込んでいた。最近になって、この本が日本では発禁になっていたと知り、よほど宮内庁に都合の悪い事実が書かれているのかもしれないと、それを確認したくてアマゾンに注文した。

キンドル版でも読めるのだけれど、紙媒体にしたので、届くのには数日かかるだろうし、今やっているプロジェクトの合間を縫って読むことになるので、読後評はちょっと先になるかもしれない。一応アマゾンに載っている紹介文をアップする。日本語の訳文も載せておく。

The tragic true story of Japan's Crown Princess-with a new afterword by the author.

It's the fantasy of many young women: marry a handsome prince, move into a luxurious palace, and live happily ever after. But that's not how it turned out for Masako Owada. Ben Hills's fascinating portrait of Princess Masako and the Chrysanthemum Throne draws on research in Tokyo and rural Japan, at Oxford and Harvard, and from more than sixty interviews with Japanese, American, British, and Australian sources-many of whom have never spoken publicly before-shedding light on the royal family's darkest secrets, secrets that can never be openly discussed in Japan because of the reverence in which the emperor and his family are held. But most of all, this is a story about a love affair that went tragically wrong.

The paperback edition will contain a new afterword by the author, discussing the impact this book had in Japan, where it was banned.

 ハンサムな王子様と結婚し、豪華なお城に移り住み、それからいつまでも幸せに暮らす――それは多くの女性が抱く夢だ。けれども、小和田雅子にとっては、そうではなかった。どこをとっても現代的で、古風なしきたりとは相容れない雅子は、ハーバード大学やオックスフォード大学で教育を受けた聡明な女性だった。だが1993年、彼女は外交官としてのキャリアを捨て、皇太子徳仁と結婚した。『Princess Masako』は、「菊のカーテン」の後ろを覗き、外からはうかがい知れない日本皇室の世界を見せる興味深い作品だ。本書では、世界最古の王朝の断絶を避けるために、なんとしても世継ぎとなる男児を生んでもらいたい宮内庁が、迷信めいたしきたりを雅子妃に強いる経緯が描かれている。成婚当初は、2600年の伝統を持つ皇室の古びた空気に雅子妃が新風を吹き込むものと期待する声もあった。だが13年後のいま、42歳の雅子妃は、適応障害との戦いが世界各国の紙面を賑わす悲劇の女性になっている。

 雅子妃と日本皇室を描いたベン・ヒルズの魅力的な本書は、東京や日本の地方都市、オックスフォード、ハーバードなどの取材に基づいて書かれたものだ。また、雅子妃や皇太子の友人、恩師、元同僚をはじめ、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア各国の関係者にもインタビューを敢行している。その多くが、これまで公には語ることのなかった人たちだ。本書はそうした情報をもとに、皇室のもっとも暗い秘密――天皇や皇室に対する畏敬の念から、日本では決しておおっぴらに語られることのない秘密に光を当てている。さらに、天皇の役割、女性の地位、メンタルヘルスや体外受精に対する考え方、官僚の持つ権力など、日本人のほとんどが敢えて口にすることのない疑問をも投げかけている。だが何よりも本書は、悲劇的な失敗に至った恋愛の物語でもある。

著者のベン・ヒルズ氏は「オーストラリアを代表するジャーナリストで元東京特派員。オーストラリアのピューリッツァー賞と言われるウォーキー賞、1年でもっとも活躍したジャーナリストに与えられるグラハム・パーキン賞を受賞している」と紹介されていて、扇情的な内容ではなさそうである。60人を超える関係者へのインタビューが基になっているのも、賞をもらったジャーナリストとして信用できそうである。

「試し読み」の部分を読んでみたけれど、煽る感じはなかった。以下に目次(Contents)のスクリーンショットをアップしておく。

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第4章のタイトルは「Magna Cum Laude」。もちろんこれは雅子さまがハーバード大学を卒業された時に大学から称された「優等」であり、ここに筆者の雅子さまへの強い尊敬の念がにじんでいるように感じた。このことがどれほど西欧社会で、世界で認知された称号であるか、知らないのは日本人のみである。情けないけれど。

世界が高く評価する、そして期待してきた優秀な雅子さまに対して、前天皇、前皇后、そして宮内庁がしてきた酷い仕打ち、それによって雅子さまを「適応障害」に追い込んだことが、改めて許せない。また、それを看過してきた私自身も許せない。時間を取り戻すことができないけれど、今後は絶対に今上陛下、雅子皇后陛下、そして敬宮愛子内親王殿下がこんな目にお会いになることがないよう、注視して行くのが私たち国民の務めだと強く思う。 

翻訳は2007年に出ているようである。ただ、省略があるとのことである。