やっとの感は否めないものの、総理自ら会見を開いたのは評価できる。
ほんとうに「やっと!」。できれば一週間前にやっていただきたかったけれど、その時だったら今以上の批判が出ただろう。責任は自分が取ると言明したことも良かった。側近にはこの自粛、休校に反対もあったという。それでも、今やらなければならない。なぜなら、ピークを可能な限り低く、そして後ろにずらすことができるから。ピークを後ろにずらして時間を稼ぐことで、医療パンクによる現場のパニックを防止し、必要な患者に必要な治療を施すことができる。それを示すのが前記事にあげた「流行のピーク山を後ろに、低くするには」のグラフだった。
低く、後ろにすることで、抗ウイルス薬やワクチンの恩恵を受ける人も、当然多くなる。2009年の新型インフルエンザと同様、多くの日本人が感染、それによって集団としての免疫が構築されるのを待つしかない。いわば、時間稼ぎの策である。「社会における新興感染症の広がりと集団免疫獲得の概念図」というのを疫学専門家の解説(日経グッディ)からお借りする。
また、それによって全体の死者数を減らすことができる。あのスペイン風邪の時のセントルイスとフィラデルフィアの死者数比較表を再度あげておく。
今朝(日曜日)のテレ朝は定石通り「安倍おろし」の大合唱だった。ウィークデイの同局の「羽鳥モーニングショー」の内容とは真逆。いろんな人が内部にいるのだろうけれど、テレ朝の既定路線はやはりこれなんでしょう。羽鳥さんのものが例外ということか。
休校にすることに「準備が足らない」と言っていたのが片山元鳥取県知事。もっと早く「一斉休校」を発令できず、後手後手になっている感はもちろん否めないけれど、今更それを言ってどうするんですか?一番はじめの視聴者からの質問が「これがダメなら、一体どういう方策があるんですか?」に、参加者が固まっていたのには笑った。テレ朝らしく「はじめから批判ありき」、また「代替案が出せない=単なる無策」が露呈していた。
一斉休校、自粛にして、卒業式などの行事ができないと、批判ごうごうだった。でも行事と命を天秤にはかけれないですよね。それも後で取り返せる類の問題であるわけで、その辺りを理解できない頭って、どうなってるんだろう。私も中高で教諭をしていたことがあるから、今が通知表を作成する時期であることは百も承知だけれど、そんなの、後でなんとでもなるでしょう。
この自粛、休校には成功例がある。台湾である。台湾ではすでに昨年の12月末より武漢ウイルスへの警戒と対策を考慮、年が明けた16日には感染者を報道、1月20日時点で「厳重特殊伝染性肺炎 中央伝染病指揮センター」を正式に立ち上げた。日本は「非常災害対策本部」に当たったという。以下、『プレジデント』(2/29)の記事より。
この記事の小見出しを列挙する。
「専門家会議も迅速に招集」
「証拠がないから対応しない日本、危険性があるから対応する台湾」
「感染者ゼロでも「非常対策本部」を立ち上げる」
「政治の優先順位はどこにあるか」
「断固とした危機対応で国民の信頼を向上」
結論は「政府が国民の安全を第一に考え、迅速に行動。危機対応で政府への信頼をさらに向上させつつ、国民が一丸となって疫病対策にあたる——そんな台湾の動きには、日本が学ぶべき点が大いにあるのではないだろうか」である。台湾は現時点で、すでにこの自粛、休校を解除し始めているという。
日本で残念なのは政権だけではない。テレビに出ている医者の中に、またネット上でも、岡田晴恵氏などを「無意味に危機感を煽っている」と非難する輩が出ていること。おそらく、妬みからだろう。また、医者連中の薬学専門の岡田氏(医学博士)へのおごりがあるように感じる。「女性が前に出る」ことへの根深い反感がある。本当に嫌になる。滋賀医大、浜松医大で教鞭をとった連れ合いから、大学、研究機関の医者達の抜きがたいエリート意識を聞いている。岡田氏は女性の間では「晴恵さん」と人気が高い。私もその一人である。大上段に「こんなことして効果あるの?」とほざいている感染の「専門家」より、彼女の方がはるかに私たちに近い判断をしておられる。
これも台湾のケースと比較してしまう。女性の総統、そしてそれを支える女性大臣がいるという。その記事(MSNニュース2/29)が以下。
一部を起こすと、以下。
“神対応”を連発する蔡政権のなかで、世界から注目されているのがデジタル担当政務委員(大臣に相当)のオードリー・タン(唐鳳)氏だ。タン氏は世界的に有名なプログラマーで、現在38歳。8歳からプログラミングを学び、14歳で中学を中退。15歳でIT企業を起業した。その後にトランスジェンダーであることを明かし、36歳で入閣した時は性別欄に「無」と記入した。タン氏はIQ180ともいわれる天才で、台湾の人々は「彼女の存在は私たちの希望」と慕う。
未知の危機に対するには、女性的な視点での細やかな対処、対策が必要であることの証左でもある。そしてそういう折には女性は多大な力を発揮する。男性は、例外があるにせよ、名誉心、誇大な自我意識に阻まれることが多いように感じる。
さらに付け加えれば、若さも大きな要素だろう。鈴木北海道知事、吉村大阪府知事の若さと機動力が今回も大きく功を奏している。今回の日本と台湾との危機への向かい合い方が、そのあらわれの一つかもしれない。