「norudora media」というサイトに悠仁作文の「パクリ疑惑」の箇所が挙がっている。
である。作文そのものも全文アップしてくれているので、スクショしたものをこの記事の最後にあげておく。
パクリ疑惑が出ているのは「小笠原諸島は」で始まる7枚目第3段落から8枚目の第2段落の「環境に適したものだけが生き残ることができました」までである。
このサイトで指摘されている悠仁作文と盗用元と指摘されているガイドブック『世界遺産 小笠原』(JTBパブリッシング)の当該箇所を比較してみる。
1.
<作文>
小笠原諸島は火山が隆起してできた島で、一度も大陸と陸鼓になったことがない「海洋島」です。ではこうした島の生き物はどのようにして島々にたどり着いたのでしょうか。
<ガイドブック>
小笠原諸島は、火山が隆起してできた島で、一度も大陸と陸続きになったことがない。こうした島を海洋島という。
(小笠原諸島に)生きものたちはいったいどのようにしてたどり着いたのだろうか。
2.
<作文>
あるものは海流に乗って運ばれ、あるものは風によって運ばれ、翼を持つものは自力で、あるいはそれに紛れて、三つのW、波(Wave)、風(Wind)、翼(Wing)によって、海を越えて小笠原の島々にたどり着き、環境に適したものだけが生き残ることができました。
<ガイドブック>
あるものたちは風によって運ばれ、また、あるものは海流に乗って。あるいは翼を持つものは自力で、またはそれに紛れて。いわゆる3W、風(Wind)、波(Wave)、翼(Wing)により、数少ない生きものだけが海を越えて小笠原の島々にたどり着くことができた。
宮内庁は「引用元を明記せず、不十分だった」として、「修正するなどの対応をとる方針」と言っているようであるが、それで済む問題と考えているとしたら、大問題である。なぜならこれは確信犯だから。
ガイドブックの文をそっくり使ったのなら、「引用元の明記を忘れた」で済むかもしれないけれど、ガイドブックの文章を巧妙に「プロセス」変換しているから。つまり自分の文章(化)した確信犯であるのがバレバレである。「『剽窃』を『修正する』」では罪を重ねることになるのでは。官庁がそれをするとなると大問題である。
私は以前にこの作文を「大人が書いた報告」と批判した。ネットでは「旅行記」という批判もあった。今読み直してみても(時間の無駄ではあった)、これが佳作になる理由が不明だった。
全く感動が伝わってこない。「朝起きて歯を磨きました。それから朝ごはんを食べて学校に行きました」といったような単なる報告にしか見えない。その理由の一つは大人がよく使う常套句をちりばめていて、中学生のみずみずしい感性が全く伝わってこないから。またもう一つは自身の目でみて感じたことではなく、ガイドブックをなぞっただけのものだから。本人が書いていないのは明白だ。
参考文献に上がっている(こちらもガイドブック)小笠原諸島返還50周年記念誌『原色 小笠原の魂—The Spirit of Ogasawara Islands』をネットで読んで、これの「Spirit 01」部をかなり参考にしている印象を持った。これは明記しているので問題ではないですが。pdfになっているのをリンクしておく。
想像するに、誰か大人が当人の話を聞いてそれを参考に、このようなガイドブックを何冊か揃えた上でそれをなぞって「創作」したニセ(似非)感想文。この作文の他の箇所にも他のガイドブックからかなり流用した記述があるのではないかと思わせられる文章がいくつもあった。
確かこの文学賞の方針として「自分の目で見て聞いて、書く」というのが打ち出されていたはず。事実、他の受賞者たちの作文は彼・彼女たちの中学生らしい生き生きした感動とその描写がダイレクトに読み手に伝わるものだった。その中で、この悠仁作文は悪い意味で異彩を放っていた。
スクショはクリックすると拡大できます。
<付記>
ネットの「皇室新聞」に作文の他箇所の盗作疑惑があげられていた。
国立環境研究所発行「環境儀No.53」(2014/06/30)掲載のインタビュー記事
「サンゴ礁を守り、再生するために Interview 研究者に聞く」中に極めて似た記載があるというもの。リンクしておく。研究者(山野氏)が質問に答える形式の記事である。下線部が作文に使われたと思われる箇所。
Q:サンゴ礁にはどのような生物がいますか。
山野:サンゴ礁は海の中で最も多くの生き物がすむといわれていています。サンゴ礁は藻類など小さな生物に隠れ場所となるすみかやエサを与えます。するとそこには、それらの小さな生物をエサとする大きな魚やエビなどが集まります(左写真)。
Q:サンゴ礁はなぜ重要なのですか。
山野:サンゴ礁の面積は地球表面の約0.1%しかありませんが、9万種もの生物がいるとされ、生物多様性が高いのが特徴です。このように多くの生命を育むサンゴ礁は、生物多様性から見ればとても重要な場所であるため、「海の熱帯林」と呼ばれることもあります。また、サンゴ礁では漁業が営まれ、人間に食料を提供していますし、美しいサンゴ礁は旅行者を引きつける観光資源でもあります。さらには、国土のすべてがサンゴ礁でできている国もあります(左写真)。このようにサンゴ礁は、人間の生活とも非常に深い関わりがあるのです(図5)。
<作文>15枚目
サンゴ礁は」海の中で最も多くの生き物が済むと言われるとともに、漁業が営まれ、人々に食料を提供しています。またサンゴ礁が育つ海は美しく、旅行者を惹きつける観光資源でもあります。
このように、小笠原諸島関係以外の出版物からも盗用がなされている。推察するにこれだけではなく、作文中の「専門的な」記述のいくつかは、どこかの文献から引っ張ってきたものであり、作文自体がパッチワークだった可能性がある。もちろん作者は大人だろう。