元財務官僚で現在は嘉悦大学教授の経済学者の高橋洋一氏が、4月25日のYouTube動画で、政府が「緊急事態宣言」を延長する可能性に言及しておられる。その際の経済危機への対処の仕方として、「政府が国債を刷って、所得保障、休業補償をする。それでも財政破綻にはならない」という案を出しておられる。
これは、橋下徹前大阪府知事がテレビで言明されていたことと、重なる。もっとも橋下氏は「延長するなら補償をしろ!政府は財政破綻する覚悟でやれ!」と檄を飛ばしておられたのだけれど。
こんな事態に陥っているのは、安倍政権の無策が招いた結果である。宣言を出すのが遅れた。宣言を出した段階でも、PCR検査拡充に真剣に取り組んで来ていなかったし、現在も状況は変わっていない。PCR検査結果での患者の重症度に応じた振り分け、それに見合うベッド数、施設の確保に取り組んでいなかった。マスク、防護服などの必要不可欠な装備の不足を予想して、先手先手で準備しなかった等々、数え上げればきりがない。いかに政府がこの事態に真摯に取り組んでいなかったのかが、誰の目にも明らかである。欧米に比べて二ヶ月早く流行が起きていたのだから、その時点で対処していれば、こういうことになっていなかった。しかし、「たら・れば」いうのは虚しい、悲しいですね。
ここで「延長」を宣言するなら、どうなったら解除になるのかの明確な指針、目標をあげるべきだろうけど、それもなさそう。責任逃れであり、トップとして許されることではない。そういえば安倍さんって、此の期に及んでも自分の言葉で国民に直に訴えることがない。最低の宰相。
大阪府は吉村知事のもと、「フォローアップセンター」という司令塔を設けて、感染状況の把握と患者の振り分けに3月前半で取り組んで来ている。昨日の段階で新規感染者は28名で飛躍的に減っている。さらに、大阪府のHPには、死亡者の年齢と基礎疾患があったか否かの情報も公表され、情報開示の明瞭さに頼もしさを感じる。しっかりとこちらも頑張ろう!という気にさせる。
PCR検査を拡充し、重症者専用病院も立ち上げる等、対応スピード感が他府県とは比べものにならない。医療崩壊を防ぐべく、先手、先手で対応して来ている。余裕ベッド数のインフォメーションも毎日発表している。
吉村知事が昨日のテレビ番組でおっしゃっていたのは、解除の方式は「大阪モデル」として立ち上げるとのこと。経済活動を殺してまで延長をするといいながら、どの程度になれば、どういう形で経済を回すようにするのかという案を出していない政府とは雲泥の差。そもそも吉村知事は延長には懐疑的である。
日本は他の国、地域に比べて死者数が劇的に少ないのは事実である。それがBCG接種のおかげなのか、あるいは1月段階でそれまでの中国からの旅行者が持ち込んだウイルスに感染、抗体を持った人が多かったから(?)なのかはわからないけれど、幸いなことに死者数は少ない。また、死者の多くは高齢者、基礎疾患を持った人たちである。
命は天秤にかけられない。しかしである、「緊急事態」を続けることによる経済の疲弊(そしてそれによる自殺者の激増)と死。それが果たしてより良い案なのか、ここで立ち止まって考えたい。