yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

文楽劇場公演記録鑑賞会『伽羅先代萩』(「第415回公演記録鑑賞会」)@国立文楽劇場小ホール 2月1日

はてさて、27年前の『伽羅先代萩」の舞台は現在のものと同じなのか、それとも違っているのか。興味深い発見がいくつかあった。

 

記録映画『伽羅先代萩」

人形

政岡      吉田文雀

千松      吉田幸助

鶴千代君    吉田玉佳

八汐      吉田文吾(五代)

沖の井     吉田清之助

栄御前     桐竹一暢

松ヶ枝節之助  吉田玉女

貝田勘解由   吉田玉幸

 

浄瑠璃・三味線

<御殿の段>

浄瑠璃     豊竹嶋大夫(八代)、

三味線     鶴澤清介

 

<政岡忠義の段>  

浄瑠璃     豊竹咲大夫

三味線     鶴澤清友

 

<床下の段> 

浄瑠璃     竹本津梅大夫

三味線     鶴澤清太郎過去の演者と今の演者

過去の演者と現在の演者

政岡を遣われた文雀さん、八汐を遣われた吉田文吾さんはすでに故人。お二人を映像で見ると、懐かしく、そして悲しい。文雀さんは理論家として知られていた方。理知的な政岡にぴったり。極めて緻密な計算の許に、浄瑠璃・三味線に合わせておられた。文吾さんも理知的な方。敵役を遣われることが多かった印象で、この八汐も大仰な遣いでなく憎たらしさを出しておられた。玉女さんは現玉男さん。剛毅な武士、松ヶ枝節之助を遣われていたのだけれど、お師匠の玉男さんが被さって見えた。

現在の演じ方

嶋大夫さん(「太夫」でなく)、清介さんはご健在。清介さんはこの1月の文楽公演、『壇浦兜軍記』、「阿古屋琴責」の三味線で拝聴したばかり。お元気で嬉しい。嶋大夫さんもお元気だとか。「御殿の段」でのお二人の掛け合いは、「いかにも!」という感じで、思わず手を打ってしまった。記憶に残影として残っているものを確認したと同時に、記憶の曖昧さにも気づかされた。先日の千歳太夫・富助さんの「御殿の段」での演奏とはギャップがあった。どちらも素敵だったのだけれど、先日の方がやはりモダンな感じ。古典芸能といえども、時代、演者によって、さらには観客によって変わるものだと納得させられた。

「政岡忠義の段」にもそれは言えた。咲大夫さんは現在と違いかなりふっくらしておられたし、浄瑠璃にも力があった。ただ、この1月の浄瑠璃を担当された織太夫さんの勢いの良さに比べると、老練な感じ。織太夫さんは「時代の子」なんですよね。パワーが半端ない。

色々な思いがどっと押し寄せてくる記録映画鑑賞だった。