yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

イタリアへ行きたい!

今月24日から8日間イギリスに行くのに、一昨日梅田の三井住友銀行で円をポンドに替えたのだが、公定レートが144円なのに155円といわれてびっくりした。関空で両替した方がマシだとは思ったのだが、面倒臭いので両替を済ませた。でも予定より少なめにしておいた。3年前にイギリスに行った折のポンドが残っていることを思いだし、帰宅してから探した。そのときに2001年11 月にイタリアのヴェニスに出かけたときのリラ札が出てきた。そのころにはユーロも導入されていてリラと併用されていたのだが、ヴェニスの銀行ATMで出金時にリラで出したのだろう。

何とも懐かしかった。その年の9月に「9.11」の同時多発テロがあったばかりだった。当時私はアメリカで大学院生をしていた。アメリカの空港はものものしい警戒だったのに、イタリアに入国の際の検査はあっけないほどだった。帰りも「こんなんで、大丈夫?」と思うくらいのあっけなさでチェックインできた。ただ、ヴェニスの空港から入国したのだが、入国後空港で少しトラブった。ヴェニス中心部に渡る船を待っていたら、オカシゲな服装をした男性二人が話しかけてきた。『地球の歩き方』で「何か話しかけてくる人には要注意」と「予習」していたので、無視したら、今度は英語で「パスポートをみせろ」という。いよいよオカシイと思って、これも無視したら、別の部屋へ連れて行かれた。ナント、その二人、空港警察官だった!船着き場でアジア人が船をまっているなんてことが、当時はあまりなかったのかもしれない。日本人は普通もっとお金のかかるタクシー等を使うのだろう。連れて行かれた際、かなり腹を立てていたので、英語でわめいたら(?!)、奥でパスポート照合をすませたらしく、すぐに解放された。

でも、市内に入ってからは、ホテルもまあまあだったし、なによりもサン・マルコ寺院を初めとする寺院と教会、ドゥカーレ宮殿。それにあの運河!運河を行き交う船からみるカ・ドーロ、カ・レッツォーニコ等の今にも崩れ折れそうな建物群。夜の運河からみる、妖しげな賭博場。
サン・マルコ寺院

ドゥカーレ宮殿

カ・ドーロ

それらに感激して、入国時の腹立たしさを忘れてしまった。さすが世界遺産。どこへ赴いても絵になった。普通に生活している人たちが観光客の通らない裏通りを歩いているのも、風情があった。景気が良くないのはすぐに分ったけど。

私が行きたかった一番の理由は、ヴィスコンティの『ベニスに死す』を実地で確かめたかったからである。数えきれないほどの大小の橋のかかる運河。観光客があまり通っていない場所で、橋から覗き込む川は、やっぱりあの映画に出てくる雰囲気そのままだった。ヴェニスほどイタリアの光と影を如実に顕している場所はないのかもしれない。昔美しかった女が今でも精一杯着飾り、若作りをして世を凌いでいる。その凄惨な様は感動的でもあるし、恐ろしくもある。ちょうど、『ベニスに死す』老作曲家が死を予感しながら、美しい少年、タジオをもとめてペストの蔓延る街を徘徊する様と重なる。この老作曲家はおしろいをはたき、紅をさしているのだ。ここのところ、さすがヴィスコンティの面目躍如。イタリアの貴族出身の彼には、イタリアの現実の姿のみならず、将来も見えていたのかもしれない。こういう美と裏表になった退廃、生(性)と隣り合わせの死を描かせたら、彼の右に出るものはいない。それは彼自身がその見本だったからだろう。イタリアほど、そしてその旧い街ほどそれを極限まで表現している場はないのかもしれない。

イギリスまで行くのだから、イタリアまで足を伸ばせたら良いのだが、新学期が始まるのでそうも行かない。残念。イタリアと「つきあう」にはこちらにも体力と精神力が要るが、後何年猶予があるのかと、ちょっと哀しくなる。