yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

追悼 人間国宝 三代徳田八十吉展 1月16日

NHKの日曜美術館で、2009年に亡くなった人間国宝、三代目徳田八十吉の追悼展について、放映していた。

彼の作品、それも最晩年の作品に魅せられた。

三代徳田八十吉「耀彩鉢『黎明』」2009年


まさに、皿が小宇宙である。『黎明』というタイトルそのままに。

江戸初期に50年ほど続いたものの姿を消し、「幻の久谷」といわれた古九谷。その再現に生涯を捧げた初代徳田八十吉(1873−1956)、そしてその遺志を受け継いできた代々の八十吉。とくに三代目はその斬新な色使いで、陶芸に新しいウェーブを起した。1997年に人間国宝に指定されたものの、一昨年亡くなった。

2009年のインタビューの録画が公開されていたが、代々の作品とご自身のものを並べられて、色使いが一貫していることを強調されていた。彼の作品の斬新さは、そのまま伝統の系譜の中にあるということだろう。

彼の経歴 についてはその内容を asahi.com より一部引用しておく。

「三代徳田八十吉は、石川県小松市の九谷焼窯元に生まれ、「九谷焼上絵付」で国の無形文化財に指定された祖父・初代八十吉から古九谷釉薬を、父・二代八十 吉からは富本憲吉直伝の現代陶芸を学びました。伝統的な九谷焼の色絵技法に飽き足らず、研究を重ねて新たな作品の創作を試み続けます。
 35歳で独立してからは、家に伝わる釉薬・古九谷5彩のうち、ガラス成分のない赤をのぞいた紺、紫、緑、黄の4彩を組み合わせて数百もの色を作り出し、 独自のグラデーション表現による彩釉磁器の焼成に成功しました。「耀彩(ようさい)」と呼ばれる色鮮やかで美しい作品は現代陶芸界から高く評価され、 1997年に人間国宝に認定されました。
 本展では、三代八十吉の代表作品と、修業時代に古典を模写した珍しい作品など約70点を展示しています。また、江戸時代初期の古九谷10点と後期の吉田屋3点に初代、二代八十吉の作品も併せて紹介し、古九谷釉薬の色の系譜をたどります。」

この記事から、古九谷の特徴が、その華やかな色彩、それも作品の奥から発せられる煌めく「光」だったことが分かる。まるでモダンアート、抽象画の世界である。抽象画で色のグラデーションを使うのは、カンディンスキー、ロスコなどがいるけれど、それを陶器で実現させるというのは、偉業である。というのも、芸術家としてのセンスだけではなく、陶工として、あるいはサイエンティストとして釉薬の研究が必須だっただろうから。


放映された番組でみた皿は上の写真よりもっと魅力的だった。実物はさらにみごとな色に違いない。ニューヨークのMoMAやDCのナショナルギャラリーでみたカンディンスキー、ロスコ作品の実物も美術本のそれをはるかに凌駕していた。