yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

橋本光史師のレクチャー、「後見とはなんぞや?」が面白い

先ほどYouTube で実に興味深い動画を発見した。題して「後見のお話」(8月10日発信)。話をされるのは橋本光史師。京都観世会館の舞台での「後見とはなんぞや?」のレクチャーである。リンクしておく。

www.youtube.com

常々、「後見」の役割がどんなものかと疑問を持っていた。場数を重ねるにつれてだいたいは想像がついてきてはいたものの、いまひとつスッキリとは理解できていなかった。だからこの動画、非常に興味深く視聴させていただいた。これは京都観世会8月例会公演に向けての「教育番組」とでもいうべきもの。公演をご覧になるか否かは別にして、ぜひ視聴していただきたい。

では、後見とは何か?

○ 後見とは座っているだけではなくて、存在を消しながら舞台全体を見ていることが重要。もしハプニングが起これば、ハプニングの場所に行く。例えばシテの進行の上で邪魔なものがあったらそれらを(シテが捨てた杖等)駆け回収する。

○ 後見はシテ、囃子、ワキが何をするか、舞台がどう進行するか全てを把握し、対処する役割を担っている。つまり、舞台の全体像を考えながら存在する仕事。

○ あくまでも舞台の背景として、邪魔にならないようにしておくことが心得のひとつ。舞台の邪魔にならないよう、足音を立てない、衣擦れの音が大きくならないようにする。

○ 楽屋ではシテとともにともに舞台に必要な道具を揃えたり、装束を用意したり、その装束をシテに着付けたりする。また舞台が始まる前には幕の内の「鏡の間」でシテに能面をつけつけ、最後のしつらえを後見がする。

さらに、ここからは後見の最も重要な役割

  • シテが演能中倒れたり気分が悪くなったりして演能が続けられない場合、後見がシテに代わり最後まで舞台を務める。
  • 後見が最も気を遣うのが「物着」の場面。「物着」とは舞台上でシテの装束を替えること。

 そうなんですよね、今まで幸いなことに?一度もそういう場面に遭遇したことはないのだけれど、シテの代理をするというのが、最も重要な役割なんですよね。だからこそ、代役をできる役者を後見に据えることが必須条件ということになる。舞台ではその存在を究極にまで「消している invisible]いる後見。しかし実際はシテを超える存在なのである。超える存在でなくてはいけないのである。

 

これを知ると舞台を見る目がかなり変わるかもしれない。