yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

公演記録映画会(於国立文楽劇場小ホール)『假名手本忠臣蔵』七段目「一力茶屋」の場@国立劇場 1984年7月

配役の載ったチラシが配布されたけれど、「歌舞伎データベース」からの配役を以下にアップしておく。

大星由良之助 = 片岡孝夫(現 片岡仁左衛門)

寺岡平右衛門 = 坂東八十助(10代目坂東三津五郎)

遊女お軽 = 中村芝雀(現 雀右衛門)

大星力弥 = 片岡孝太郎

斧九太夫 = 助高屋小伝次

鷺坂伴内 = 尾上松鶴

赤垣源蔵 = 市川銀之助

富森助右衛門 = 坂東慶三(現秀鯛)

矢間重太郎 = 片岡松之助

太鼓持半平 = 尾上佳緑

太鼓持喜久平 = 尾上寿鴻

仲居おふく = 中村小山三

仲居おたき = 中村千弥

仲居おうめ = 尾上扇緑

太鼓持万平 = 尾上松太郎

太鼓持正七 = 市川松次

太鼓持甲平 = 尾上緑三郎

仲居おてる = 片岡孝二郎

仲居おさん = 坂東鶴枝

 

月一で文楽劇場において開催される「公演記録映画会」、内容が歌舞伎『忠臣蔵』になって以来、客数が増えている。先月も多かったけれど、今回はなんとロビーの端から端までの長い列に驚いた。開演35分前でいただいた札が153番。係員の方から入場できないかもしれないと告げられた。かなり心配したけれど、なんとか中へ。 

もちろん仁左衛門が由良之助とわかっていたので、ある程度予想はできていたのだけれど、ここまでとは。仁左衛門人気、オソルベシ。

この頃の仁左衛門の舞台は見ていないので、なかなか興味深かった。つい先日も南座で彼を見たのだけれど、相変わらずのその美形(?)ぶりに感嘆至極だった。当時40歳の仁左衛門(孝夫)はかなり精悍な感じで、今の柔和で華奢な感じとはかなり異なっている印象だった。由良之助をそういう人物として描きたかったのだろう。

当時16歳の孝太郎が力弥を演じているが、この頃は今のようなクセがなかったんだなんて思いながら見ていた。芝雀だった雀右衛門も、現在のちょっとボテっとした感じではなくて、お父上の雀右衛門を偲ばせるものがあった。

感動した(?)のは八十助が巳之助にあまりにも似ていたこと。あっ、逆ですね。巳之助氏がお父上に似ているんですね。表情の付け方、細かい所作、そして声、こんなにも共通点があったんだと、心底驚いた。一時は役者ではない道を選ぼうとしていた巳之助。それでも稽古をお父上にきちんとつけてもらっていたのだと、納得。現在の彼があんなにきちんと役をこなすのは、やはり父の薫陶をしっかり受けていたんですね。

現実の舞台では通しで『假名手本』を見る機会があまりないので、このように「公演記録」として見ることができるのはありがたい。知る人ぞ知る、この日の来場者はかなりの「通」が多かったような。年齢層もいつもよりは若干若目。

つい先週も文楽でこの段を見ているので、感慨もひとしおだった。文楽では4月、そしてこの7月興行で序幕からこの七段目まで終えている。おそらくあと一公演で完結するだろう。4月、7月ともに、チケットは売り出しと同時に、ほぼ完売だったようなので、次回は発売日をしっかりチェックしておかないと。

それにしても、『假名手本忠臣蔵』がなぜここまで日本人に好まれるのか、それを考えなくてはと思っている。