yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

マタ・ハリを演じたツィガンコーワの演技の繊細に打たれた 「オランダ国立バレエ団」の『マタ・ハリ』NHKプレミアムシアター 2019年5月20日(月)【5月19日(日)深夜】

以下がプロダクション。

■演目:バレエ『マタ・ハリ』(全2幕)
■音楽:タリク・オリーガン
■振付:テッド・ブランセン
■出演:
マタ・ハリ/マルガレータ:アンナ・ツィガンコーワ
ルドルフ・マクラウド(マタ・ハリの夫):ケーシー・ハード
キーペルト中尉(ドイツの軍人):ヨセフ・ヴァルガ
ワディム・ド・マスロフ(ロシア人将校):アルトゥール・シェステリコフ
シヴァ神:チェ・ヨンギュ   ほか
オランダ国立バレエ団
オランダ国立バレエ学校
■管弦楽:オランダ・バレエ管弦楽団
■指揮:マシュー・ロウ
■収録:2016年2月23日 ミュージックシアター(アムステルダム)

 また、マタ・ハリことマルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレについての解説が以下。

マタ・ハリとして知られるオランダ人女性マルガレータ・ツェレ(Margaretha Geertruida Zelle)は1876年、裕福な家庭に生まれました。しかし、父が投資に失敗し、一家は離散します。

オランダ軍将校と結婚し、ボルネオ、スマトラ、ジャワなどにも同行し、二児をもうけますが、夫婦仲は悪化し離婚。
オランダへ帰国後、フランスへ渡り、エキゾチックな容姿を生かしてダンサーとして成功しますが、この頃から東洋的な響きのマタ・ハリを芸名として使用するようになります。
高級娼婦でもあった彼女はフランス軍将校、ドイツ軍将校の相手をし、スパイとしても活動します。
1917年、フランスにて逮捕、起訴され、同年、銃殺刑に処せられました。 

このNHKの番組、マリンスキー・バレエの『ライモンダ』とこの『マタ・ハリ』との抱き合わせで、超豪華な企画だった。『ライモンダ』も見たのだけれど、

ライモンダ役のヴィクトリア・テリョーシキナが、期待ほどではなかった。テレビ画面は残酷で、実際の舞台だったら隠せるところも大写しになってしまう。少し気の毒だったかも。

その点、マタ・ハリを踊ったアンナ・ツィガンコーワ(Anna Tsygankova)の美しさ、繊細は際立っていた。この作品そのものが「ドラマチック・バレエ」というか、実際の演劇の舞台のようで、ダンサーであると同時に役者であることを求められている。だから顔の表情、動作の細やかな表現がとても重要。しかもそれが画面に大写しになるんですから。それに「耐えうる」ダンサーは多くないと思う。彼女は役者としても一級の人だった。思わず感情移入してしまう演技力の高さ。なんといっても表情が豊か。そして美しい。 

現在「オランダ国立バレエ団Dutch National Ballet 」のプリンシパルであるアンナ・ツィガンコーワは、もちろん踊り手としてもボリショイ級。事実、一時期ボリショイに在籍していた。「オランダ国立バレエ団」のサイトにこの詳しい作品解説とスタッフ、演者紹介が載っている。 

www.operaballet.nl

それによるとAnna Tsygankovaは2007年に「オランダ国立バレエ団」に入る前には「ハンガリー国立バレエ」、「ウィーン国立歌劇場」でも踊っていた。生まれはロシアのNovosibirskで、そこのバレエ学校を卒業している。なんと、シベリア出身なんですね。様々な賞を獲得、「オランダ国立バレエ団」のプリンシパルにまでのぼりつめたということらしい。やっぱりロシア出身のバレエダンサーなんだと納得。

男性陣も充実していた。彼らも役者としてやっていける人たちだった。特に良かったのがナチス軍人のキーペルト中尉を演じたヨセフ・ヴァルガ。細やかな演技、顔の表情が映画俳優並みだった。

「オランダ国立バレエ団」のバレエはボリショイ、パリ・オペラ座などとは違った機軸を打ち出しているのがわかった。演劇として捉えた方がいいのかもしれない。次にヨーロッパに行くなら、見てきたいと思う。

『マタ・ハリ』についての記事と写真を掲載しているネットサイトの「buchtrack」 をリンクしておく。

bachtrack.com