yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「バレエの美神2021」@東大阪市文化創造館大ホール 10月11日

このガラを主催、ダンサーたちを海外から招聘した光藍社の公演紹介は以下。

百花繚乱!今こそ観たい旬を極めるダンサーたちが紡ぐ、新たなる伝説

1992年~96年開催の「オールスター・バレエ・ガラ」に続き、1999年から開催した「バレエの美神(ミューズ)」は、プリセツカヤ、P.デュポン、ルジマトフ、セメニヤカ、ラトマンスキー、イレール、ゲラン、ピエトラガラ、ヴィシニョーワ、ザハーロワ、マトヴィエンコほか、時代を象徴する錚々たるダンサーが出演して話題を集めました。
その伝説の舞台が、15年ぶりに復活!今回は世界各国のバレエ団から、“今”観ておきたい旬のダンサーや飛躍を続ける若手ダンサーたちが出演します。

残念ながら今回のコロナ騒動で、来日予定のダンサーが来日不能になったのが数名あったようで、そのため当初予定していた演目も変更されている。

この日はBプロだったのだけれど、以下のような内容だった。

第1部
◯ 「海賊」よりパ・ド・ドゥ
アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ(ミハイロフスキー劇場バレエ/プリンシパル))

ニキータ・チェトヴェリコフ(ミハイロフスキー劇場バレエ/ファースト・ソリスト)

 

見せ場満載。跳躍、スピード共に優雅であると同時に圧巻。

 「パヤデルカ」よりニキヤのソロ
アリョーナ・コワリョーワ(ボリショイ・バレエ/リーディング・ソリスト)

スキャンティでエキゾチックな衣装がスリムで高身長肢体の美しさを引き立てる。顔が小さくダンサーとしてこれ以上ないほどの理想的体型。美しく優雅。ソロで踊る舞台はそれだけで一つの絵巻物として完結していた。

 

◯ 「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」
ナターシャ・マイヤー(イングリッシュナショナルバレエ/プリンシパル)ルグリガラで見て

ヤコブ・フェイフェルリック(オランダ国立バレエ/プリンシパル)ルグリガラで見て

モダンバレエ。肉体を覆うグレーの簡素な衣装が雑味を捨象し、逆に隠れた肉体の躍動感をダイレクトに伝える。男女二人の絡み合いの中に、ドラマがうまれている。この二人は数年前の芸文センターでの「ルグリ・ガラ」で見ていたが、薫陶の果実がしっかりと見える舞台だった。

 

◯ 「スパルタクス」よりアダージョ
エレオノーラ・セヴェナルド(ボリショイ・バレエ/リーディング・ソリスト)

デニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ/プリンシパル)

バレエの醍醐味である美しい回転、超人的な跳躍が満載のパ・ド・ドゥ。「すごい!」を連発し、呆気に取られたうちに終わった。観客の拍手がそれぞれのウルトラ級テクニックを披露するたびに立て続けにあった。

 

◯ 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
倉永美沙(サンフランシスコバレエ/プリンシパル)

アンジェロ・グレコ(サンフランシスコバレエ/プリンシパル)

第2部
「白鳥の湖」第1幕2場よりアダージョ
アリョーナ・コワリョーワ

デニス・ドミトリエフ (モスクワ音楽劇場バレエ/シニア・プリンシパル)

 

男性ダンサー、背が高く足が長く理想的なダンサー体型。女性を支え、引き立てる役が上手い。それにしてもコワリョーワは今まで見てきた海外のトップバレエダンサーの誰よりも美しい。しかも技もトップクラス。ボリショイで、現在トップのザハーロワの後継者の最右翼だろう。

◯ 「ハーモニー」より
倉永美沙

アンジェロ・グレコ

モダンバレエっぽい。倉永さんはこちらの方が古典よりも個性が引き立っていた。それをあくまでも支えるグレコがいい。アメリカ的モダンが充溢していた。

 

◯ 「シルヴィア」よりパ・ド・ドゥ
ナターシャ・マイヤー

ヤコブ・フェイフェルリック

 

◯ 「ウィズアウト・ワーズ」より

音楽:シューベルト、振付:N.ドゥアト
アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ

ニキータ・チェトヴェリコフ

これはこの日見た舞台で最も印象的だったもの。モダンバレエ的。両脇で直角にたてた腕がバレエリュスを思わせる。バレエリュスのように「異化」効果を醸しだすというのではなく、一つのアクセントのように肉体の「異様」を使っている。ある種の思想を提示している感じがしたのだけれど、その点ではButohを連想した。

 

◯ 「ライモンダ」よりアダージョ
アリョーナ・コワリョーワ

デニス・ドミトリエフ

 

理想的なカップル。

◯ 「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
エレオノーラ・セヴェナルド

デニス・ロヂキン

跳躍の美しさ、力強さでは、そしてスピードではロヂキンを超えるダンサーはいないだろう。ボリショイのレベルの高さを見せつけた。

この後、10人のダンサーが勢ぞろいした最終の全体舞踊。第一部、第二部で踊ったいずれかのグラン・パ・ド・ドゥを再披露しての観客サービス。なんとこの後、観客の「アンコール!」の声に応えてさらに二度追加してくれた。客席はスタンディング・オベーション状態で拍手、掛け声など大騒ぎだった。ダンサーたちもそれに応えて、出血大サービス!今までこういう舞台と一体化したバレエ公演に出くわしたことがなかったので、驚きつつも楽しかった。さすが大阪の観客。大衆演劇の舞台を思い出した。

この最終章の群舞のままの衣装のダンサーたち。カッコ内は踊った演目。

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後列左より

ヤコブ・フェイフェルリック(「シルヴィア」ナターシャ・マイヤー(「シルヴィア」、ニキータ・チェトヴェリコフ(「海賊」)、デニス・ドミトリエフ(「白鳥」)、アリョーナ・コワリョーワ(「白鳥」)、デニス・ロヂキン(ドン・キホーテ」)、エレオノーラ・セヴェナルド(「ドン・キホーテ」

前列左より

アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ(「海賊」)、アンジェロ・グレコ(「ハーモニー」)、倉永美沙(「ハーモニー」)

 

「各ダンサー紹介」を招待した光藍社のサイトからお借りする。

◯ ナターシャ・マイヤー

  2012年ウィーン国立バレエ団に入団し、バレエ界のレジェンドであり、当時の芸術監督であったマニュエル・ルグリに才能を見出された逸材。2020年にイングリッシュ・ナショナル・バレエへプリンシパルとして移籍し、さらなる活躍が期待される。舞台上で放つ清らかさ、世界を魅了する美しい足先を持つ。ヤコブ・フェイフェルリックとの再共演にも注目したい。

 

◯ ヤコブ・フェイフェルリック

  バレエ学校時代から精鋭として注目を浴び、ウィーン国立歌劇場バレエに入団。前芸術監督マニュエル・ルグリが育てたダンサーの一人であり、23歳の若さながら実力あるベテランと多数共演して豊富な経験を積んでいる。2020年オランダ国立バレエにプリンシパルとして移籍。ドラマティックな演技力に定評があり、これからの活躍が楽しみな若手ダンサー。

 

◯ ニキータ・チェトヴェリコフ

  ロシア生まれ。

 

◯ アリョーナ・コワリョーワ

  2016年ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業後、ボリショイ・バレエに入団。入団当初から芸術監督ワジーエフにより数々の大役に抜擢された。17年にNYのリンカーンセンター・フェスティバルでバランシン「ジュエルズ」初演50年の記念すべき公演で、ダイヤモンドを踊り、世界的に実力を認められた。高長身でモデルのようなプロポーションを持つ注目の若手バレリーナ。18年にロシアの権威ある「踊りの魂」賞でライジング・スター部門にノミネートされた。

 

◯ デニス・ドミトリエフ

  高身長で美しいプロポーションから繰り出されるダイナミックな跳躍と、エレガントな踊りで魅了する。芸術監督のローラン・イレールからの信頼も厚く、数々の作品で主役を踊る、モスクワ音楽劇場の看板ダンサー。

 

◯ デニス・ロヂキン

  現在のボリショイ・バレエを代表するダンサーのひとり。美しい容姿と、セクシーでワイルドな魅力を兼ね備え、どんな役でも彼ならではの色に染めてしまう。バレエ界の女王スヴェトラーナ・ザハーロワが信頼するパートナー。14年にロシアの権威ある「踊りの魂」賞受賞、17年にはブノワ賞のベスト・ダンサー賞を受賞。日本文化や日本語への関心が高く、好きな日本語は「一期一会」。

 

◯ エレオノーラ・セヴェナルド

  2017年ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業後、ボリショイ・バレエに入団。校長であるツィスカリーゼからも期待され、バレエ学校時代から注目された逸材。入団当初から主要な役を踊り、19年の「ドン・キホーテ」主演デビューでは、勢いあふれるパフォーマンスが話題となった。2021年2月にはリーディング・ソリストに昇格し飛躍を続ける。天性の華があり、どんな役でも踊りこなす汎用性と、強靭なテクニックが高く評価されている。

 

◯ アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ

  2013年ボリショイ・バレエからミハイロフスキー劇場バレエに電撃移籍して大きな話題となったダンサーで、入団して以来、劇場の看板バレリーナとして活躍を続けている。ワガノワ・バレエ・アカデミーの校長ツィスカリーゼの愛弟子であり、劇場の振付家ドゥアトからの信頼も厚い。どんな役でも踊りこなせる高い身体能力を持ち、その確かなテクニックはどの瞬間を切り取っても観客を圧倒する。Instagramで投稿された動画からはトレーニングの様子が伺え、安定感抜群のバランス力を裏付けている。

 

◯ アンジェロ・グレコ

  2016年にイタリアのミラノ・スカラ座から、サンフランシスコ・バレエにソリストとして移籍して、わずか5か月後にプリンシパルに昇格。倉永美沙とのパートナリングは、芸術監督ヘルギ・トマソンからもお墨付き。豊かな音楽性と強靭なテクニックで、生き生きと踊る姿が魅力的な今注目の若手ダンサー。

 

◯ 倉永美沙

  ボッレ、マラーホフなど世界的なスターダンサーにも実力を認められ、海外各地の様々な公演に出演する、今最も多忙を極める日本人バレリーナのひとり。2001年モスクワ国際バレエコンクール、06年ジャクソン国際バレエコンクールで日本人初の金賞を受賞した経歴の持ち主。19年には日本のドキュメンタリー番組でも特集され、練習に対するストイックな姿勢が話題となった。Instagramのフォロワー数は14万人を超えるインフルエンサー。ブレない回転と羽ばたくような軽やかなジャンプでまばゆいオーラを放つ。

ミハイロフスキーの二人は数年前に見たミハイロフスキーの来日公演にはいなかった。おそらく新旧交代があったのだろう。若さが大きな必須条件なのがバレエの世界なんだと、改めて感じ入った。