現在、浦島太郎の気分。ロンドン大学のSOAS図書館で学術情報にアクセスをする中で、驚くべき情報を得た。なんと卒業生にもアクセスできるようにしているというのだ。そのオンライン・データベースがEBSCO。初めて聞く名。アメリカの大学院を出てしまうと、アメリカの大学で教えていない限り、JSTORやProject Museといったデータベースにアクセスできないのが、最大の悩みだった。日本の大学ではこれらを導入しているのはメジャーな大学のみで、私の奉職していた大学では導入していなかった。仕方なくQuestiaという有料の学術情報サイトを使っていた。ただ、最近、頻度は極度に少なくなっていた。お恥ずかしい。連れ合いに「あなた、最近論文書いていないでしょう」って言われていた。
このEBSCOは極めて包括的なテータベースで、JSTORやProject Museも入っている。日本の大学では立命館大学が2012年に導入したのが最初らしい。導入校はすでに200校に及ぶとか。早速、EBSCO Japanのサイトに入ってみた。トップページに「(EBSCOとは)学術雑誌論文を中心とした学術情報の全文、または文献データを検索してご覧頂ける、オンライン・データベースです」と紹介が出てくる。
加えて、琉球大で司書をしておられる(?)「図書館の犬」さんのブログ記事(2013/06/27)で最近の(?)動向を教えていただいた。感謝。
一部を引用させていただく。
オープンアクセス運動が高まり,学術情報への自由なアクセスが訴えられている.著者や閲覧者が費用を負担することなく学術情報へアクセスできる状態の論文を,オープンアクセスという.オープンアクセスする方法は,オープンアクセスジャーナルへ投稿する方法(ゴールドオープンアクセス)と,機関リポジトリ等にセルフアーカイブする方法(グリーンオープンアクセス)がある.機関リポジトリとは,大学自身による学術情報基盤の整備として,研究者が自身の論文を大学のウェブサイト等で公開することで,学術情報への自由なアクセスを促進しようという動きである.
この EBSCOも「オープンアクセス」への一つなんだと納得。私の勤務していた大学はどうなのかと調べたら、一応導入はしているらしい。多分私が辞めてから。「リポジトリ」という学内紀要をオンラインで公開するシステムを採用するようになったのは私の辞める数年前。「書いたもので自身のレベルがオオヤケになって困る人もいるのでは?」って心配した記憶があるから。
しかし雑用に振り回されている昨今の日本の大学。欧米のように時間をとって研究に没頭できる時間は少なくなる一方。こんな中でデータベースを利用して論文を書くことはかなり難しいでしょうね。いくらEBSCOを導入しても、果たしてどれほどの人が使いこなしているやら。「自分の時間を持ちたい!」って辞めていながら、ここ2年ばかりは学術活動を停止している私が言うのもなんですが。
ロンドン大で卒業生にEBSCOを開放しているなら、私の卒業した大学でもやっているかもと思い、ペンシルベニア大の図書館サイトに入ると、やっぱりありました。早速登録。有効になるのに1日程度かかるようなので、明日にでもアクセスしてみるつもりにしている。すごい時代になったものです。強烈なパンチを喰らってしまった気分。ロンドンに来て良かったと、改めて思う。環境はとても大事なんですね。
図書館にも「革命」が起きているようです。それもITによる書籍、論文の電子化が進んだおかげですね。それをオープンアクセスにするところにあと一歩っていうところに来ている?Google Scholar もその一つなんでしょうが。現場を離れた人間には、これほどありがたいことはありません。