yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

社中会の醍醐味を味わった能『屋島』in「幽花会秋季大会」@京都観世会館 11月5日

片山伸吾さんの社中会での社中の方がシテを演じられた『屋島』。お囃子も地謡も全てプロの方々。なんという贅沢!

演者一覧を以下に。地謡は京都観世流の方々。

前シテ(屋島の老漁師) 木村厚
後シテ(源義経の幽霊) 木村厚
シテツレ(屋島の若い男)橋本忠樹
ワキ(旅の僧)     福王知登
アイ(屋島の浦人)   茂山逸平

小鼓   曽和鼓堂
大鼓   河村大
笛    杉信太朗

「銕仙会」のサイトから演目概要を引用させていただく。

旅の僧(ワキ・ワキツレ)が讃岐国屋島浦を訪れると、浦の老漁師(前シテ)と出会う。老翁は、僧が都の人と知って快く宿を貸し、僧の求めに応じて昔の源平合戦の様子を物語る。その余りの詳しさに不審がる僧たちに、老翁は自らが源義経の霊であることを仄めかすと、姿を消すのであった。

その夜、僧の夢枕に義経の幽霊(後シテ)が現れる。義経は、身の危険を顧みずに海へ落とした弓を取り戻した過去を語り、名誉を惜しむ自らの信念を語る。そうする内、この地は修羅の巷へと変貌し、義経は死してなお続く戦いの日々を見せるのであった。

世阿弥作の修羅能(二番目もの)。義経のシテを演じられた木村厚さんはプロではないけれど、今までに見てきた素人の方中、最もお上手な方。とくに後場で軽々と飛び跳ねるところは素晴らしかった。もちろん舞いも私の目には瑕疵がなく、プロにそう遜色がないように思われた。謡の声は細い目ではあったけれど、囃子に乗ってまさに正調「謡」になっていた。比較的お若い方だったのでは?義経のもつ「花」を出すには、もってこいの方の気がした。

サポート役の橋本忠樹さん、ワキの福王知登さん、そして何といってもアイの茂山逸平さんが秀逸だった。みなさんプロの中でも超一流の方々。また、お囃子もそれに負けてない。小鼓が曽和鼓堂さん、大鼓が河村大さん、笛が杉信太朗さんと、みなさん中堅というより若い方々。勢いがある。この舞台を社中会で観れるとは、なんという贅沢!

それにしても京都観世会のすごさをイヤというほど認識させられた社中会だった。能の演者の層の厚いこと。このすごい舞台に「溺れて」しまうと、他地域での能に留保をつけてしまいそうで、怖い。厚かましくもこんな心配を能初心者の私がしてしまった。

社中会というのは大体が9時頃から始まり、5、6時頃に終了。東京のものを含め結構な数に参加してきたけれど、どれ一つとして不満が残ったものがない。これが日舞などの社中会(発表会)と違うところでは?素人が舞ったり、謳ったりしても、見苦しかったらい、聞き苦しかったりがない。むしろ、楽しかったりする。これ、不思議。味方玄さんの東京での社中会など、朝9時から夕方6時頃までべったりと詰めて、まったく飽きなかった。ずっと楽しめた。この時間がずっと続けばなんて願ったほど。そこまで長時間ではないにしても、最近でも社中会にはけっこうお邪魔しているが、どの会も楽しかったし、最後まで飽くことなく観劇させていただいた。至福のときをめぐんでくださり、心から感謝!