yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

にっぽんの芸能 芸能百花繚乱『細川の血達磨』:「染五郎 気迫のスタジオ歌舞伎」NHK eテレ

演目は「細川の血達磨」だった。もう、あまりにもツボでコトバがない。

いろいろな新しい試みーーそれらは大衆演劇の優れた劇団がすでに採っている芝居への新アプローチだがーーがみられた。講談師の語りに合わせて演じられたこと、火事の場面での火(映像)を使ったことといった演出面だけではなく、人物の描き方が現代劇になっていた。現代劇と歌舞伎の型とのコラボレーションが、絶妙のバランスで成立していた。これをみるとあれほど人気の「劇団新感線」の舞台のチャチさがよく分かる。と同時に歌舞伎の演者が若返ってきたのと並行して、歌舞伎の演目にも新しい視点が導入され始めたということも分かった。歌舞伎の身体訓練ができている役者が演じるんだもの、にわか役者が演じる芝居とは質が違って当然。楽しかった。そしてうれしかった!以下はNHKサイトからの紹介文である。

今回は、歌舞伎俳優・市川染五郎ほかの出演によるスタジオ歌舞伎「細川の血達磨」をお送りする。スタジオならではの映像合成を交えた、歌舞伎の新たな可能性を楽しむ。

歌舞伎俳優・市川染五郎たちの出演によるスタジオ歌舞伎「細川の血達磨」をお送りする。この作品は、2006年10月に大阪松竹座で上演された「染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)」をテレビ用に再構成したもの。講談師・旭堂南左衛門とのコラボレーションに加え、染五郎による主人公格の一人二役や、御朱印状を守り通す火事場での火の扱いなど、テレビならではの映像合成を駆使した新たな表現を試みる。

これで染五郎を見直した。幸四郎とはまったくちがったやり方で歌舞伎に新境地を拓こうとしているのだろう。

演目の元ネタは「細川の血達磨」という江戸時代の伝説と歌舞伎の『蔦模様血染御書』とを組み合わせた内容になっている。実際に歌舞伎として2006年10月に松竹座の舞台に乗ったそうで、これを見逃したとは残念! 染五郎と愛之助が演じたということである。以下はそのときのちらし。



今日の「スタジオ歌舞伎」では染五郎が一人二役で演じたが、松竹座のときは染五郎と愛之助の共演だったようである。以下観劇された「ハイパー田舎人」さんのサイトからの引用。

今月7日に観に行った松竹座での歌舞伎レポート。
格安券で鑑賞。でも1階12列目でした。

江戸時代、盛んに取り上げられた「細川の血達磨」伝説を取り入れ、
明治時代大評判になった「蔦模様血染御書」を基に約一世紀ぶりに復活した演目。
衆道(男色)や見せ場である火事場の演出問題があって上演がとだえていたらしい。

友右衛門(市川染五郎)、数馬(片岡愛之助)の男同士の濡れ場、
クライマックス火事場のシーンで火の海に飛び込み、自ら腹を切り、
御家の宝である御書をその中へ収めて火から守るという壮絶な見せ場、
どんな演出で見せてくれるのだろうとかなりワクワクで出掛けたのであった。

あらすじ(松竹webより)
大川友右衛門(染五郎)は、浅草観音参詣の折、美しい若衆姿の印南数馬(愛之助)を見染めます。
数馬が細川家の小姓と知った友右衛門は武士の位を捨て、細川邸に中間として奉公するようになります。
ある日、友右衛門は数馬の寝室に忍び、二人は衆道の契りを結びます。
数馬から横山図書(猿弥)という父の敵があることを打ち明けられた友右衛門は、
数馬と互いの腕の血をすすり合い兄弟の義を結び、敵討ちの助力を約束します。
ところがこの様子を、かねてから数馬に心を寄せる腰元のあざみ(春猿)が見つけ、
細川候(段治郎)の知るところとなります。お咎めを蒙ると思いのほか、
友右衛門の数馬への思いと、数馬の孝心の篤さに感銘を受けた細川候に、
逆に士分に取り立てられた友右衛門は、いずれこの御恩に報いようと決心します。
ある日、細川邸に起こった火事はまたたく間に燃え広がり、このままでは細川家の宝である
将軍より拝領した御朱印が灰燼に帰すのも時間の問題となります。
ここに馳せ参じた友右衛門は、御恩に報いるのはこの時をおいてないと火中に飛び込み、
ついには自らの腹をかき切り、御朱印をその中に入れて・・・

          *

まず濡れ場だけども、シルエットを使って着物を脱ぎ、抱き合い、倒れ込むといった
かなり生ナマしい見せ方で、しかもライティングはピンク!!!(苦笑)
お囃子に宝塚ばりの妙な歌(苦笑)
愛之助さんの恥じらいながらも恋い焦がれる気持を抑えられないという
可愛い男の演技がとってもステキ!と思って観ていただけにこの演出は・・・・・・
カトチャンの「ちょっとだけよ〜」みたいとあちこちで声が(笑)

火事場のシーンは映像をバックにマジックで使うような火や煙、光沢のある紙を使った
火の粉が舞台、客席を覆い、染五郎さんの衣装からも火や煙が立ち上り、凄い迫力!!
自らの腹を切り裂き、内蔵を引きずり出してその空の腹へ御書を収めるシーン・・・・
あのね、そこまではとっても凄い迫力で固唾をのんで観ていたわけですよ。
そしたら、肝臓、腎臓、腸と作り物を腹から出して「かんじんちょう」とか
寒いギャグ・・・・・・・・orz・・・・・・・・・・・
シリアスな見せ場でズッコケはいらない気がするなぁ。

ラストは忠義の為に死んで行った愛するヒトを想う数馬と幻影の友右衛門。
またもや宝塚ばりの歌と演出・・・・う〜ん・・・あまりの衝撃に歌、覚えてしもた(苦笑)


真に迫っての正確な描写!ありがとうございます。この記事を読むと今日の「スタジオ歌舞伎」と重なって、いっそう舞台を観たくなった。またやってくれないだろうか。丁度5年前になるのだから。

この記事にもあるように、衆道(男色)を扱っていたために上演ができなかったという。染五郎と愛之助の「勇気」にカンパイ。これをみると先日朝日劇場でみたスーパー兄弟の『河内十人斬り』での「義兄弟」の男色と見紛うばかりの愛を思いだしてしまった。日本も明治になるまでは男色は御法度ではなかったので、戯作では頻繁に登場するし、『好色一代男』のような作品も生まれたのである。