Twitterの安田洋祐さんの記事にあった情報で、調査対象は2004年から2006年にかけてのものである。1位:清華大、2位:北京大、3位 UCB、4位:ソウル大だそうである。現在の状況はそれに拍車がかかっていると思われる。清華大 (上海にある)、北京大はもちろん中国の文字通りトップ大学、ソウル大も韓国のトップ大である。ひるがえって、日本の東大をはじめとするトップ大から米国への留学者は減っているし、その上、Ph.D.をとるところまで行く学生は激減していると思う。
私が在学した間(1997年から2004年)にすでにその兆候はみられた。私の在籍した人文系のプログラムでも中国からの留学生はそのほとんどが清華大、北京大出身で、一人は清華大の准教授になって帰っていった。ソウル大の出身学生はPh.D.取得後、アメリカの中西部の大学に職を得た。米国のPh.D. (博士号)は世界で最高の学位だから、故国に帰ればよい就職先が待っているし、アメリカで職を得るにしてもそこそこのところに収まるから、経済的に無理をしてでも留学してくるのだ。それに比べると、日本人留学生は別に無理をしてPh.D.を取らなくても、日本に帰ればそこそこの就職先が待っているという甘えがあったように思う。日本人学生は、そもそもそんな無理は初手からする気はない。日本にいる方がはるかに「快適」なのだから。
日本に帰ってきても、大学側がPh.D.の何たるかを理解しないで (私の場合もそうなのだけど)軽んじた対応をすることが多く、失望させられる。要するにとってもとらなくても日本の大学にいる限りそう変わらないのである。
これは憂うべき現象だと思う。アメリカの大学には世界から最高の頭脳が集まってくるから、そこで競争し、知的にも精神的にも鍛えられれば、世界に通用する、そして世界を股にかけて活動することが可能になるのだ。また、何ものにも替え難い人のネットワークができる。そういう若い人材が日本にいなくなっているとなると、将来の日本の発展はおぼつかないだろう。近隣の国々に従えられてしまう事態が起きないとも限らない。日本の英語教育の貧困さからくる英語のどうしようもない下手さは、留学をためらわせる原因の一つであるのは間違いない。でもそれが主たるものではないような気がする。ガッツがないのだ。叩かれても立ち上がる強さがないのだ。失敗をおそれない勇気がないのだ。未知のものに挑戦しようという好奇心、意欲がないのだ。
私は自分の勤務先の大学で微力ながら留学を奨励しているけれど、5年前に比べても留学希望者が激減している。本当に残念でならない。