「AI」、「シンギュラリティ」等の未来を先取りする、あえていえば担保にする概念、それと現代に生きる若者たち、さらには過去に「生きた」天草四郎を結びつけようとする試みはそれなりに面白かった。そのようなフューチャリスティックな事象を現代に私たち…
ユダヤ系の劇作家、トニー・クシュナー作。今では不治の病ではなく、コントロール可能な病になったエイズ(後天性免疫不全症候群)。エイズがキーファクターになっている本作品は、エイズが猛威をふるっていた1980年代終わりが舞台。舞台版Angels in America…
傾城松山太夫を玉三郎が、椀屋久兵衛を勘九郎が踊った。これ以上ない組み合わせ。これをみて、松山太夫を誰が演じるかが、非常に大きな意味を持つことを理解した。夢幻の世界が舞台を覆う。夢幻界の主は松山太夫。松山恋しさのあまり狂ってしまった椀久、彼…
窒息しそうな室内から出られなくなった人物たち。そこで起きる恐ろしい出来事を描くサイコスリラー。登場人物たちは最後まで部屋の外に出られない。それを見ている観客は二重の閉塞感に苛まれることになる。シュールレアリズム映画の旗手、ルイス・ブニュエ…
これもさほど期待しないで出かけたのだけれど、見ておいて良かった。もう一度見るつもりにしている。もっと以前の公演録画と思っていたら、なんと1年前(2016年12月)のもの。玉三郎の熱い念とそれを実現させる技の極みに圧倒される。それらを次世代に伝承…
「合邦住家の段」のみ。Wikiに詳しい解説が載っているし、長い段なのであらすじは割愛する。説経節の「しんとく丸」などが題材になっている。ちなみに寺山修司の『身毒丸』(1978)も、この説経節を素に書かれている。継母と義理の息子の恋愛といえば、古い…
今回の文楽初春公演の番組中、最も良かった。期待値が高くなかったので、これは予想外。期待していなかったのは、先月ロームシアターで見た「二月堂」が良くなかったから。こちらは渚の方を坂田藤十郎、良弁大僧正を四代目鴈治郎が演じた。歌舞伎の「二月堂…
この能を見れて良かった!一つの事件に立ち会った気がした。能が能として成立、発展する過程を確認できるこの作品。それが、今、この瞬間に開示された。そんな感を持った。この能が現在の形になるまでの歴史を反芻させてもらった。楽しかった。黎明期の能の…
どこまでも静か、そして美しい舞いだった。能、『雲林院』は『伊勢物語』の中核をなすところの在原業平と後の二条后、藤原高子との逃避行を題材にした作品。この仕舞では最後の「クセ」部がまわれる。京都紫野の雲林院を訪れた公光の前に現れた業平の霊が高…
1月はびっしりと予定を組んでいたため、ブログ記事が追いついていない。数日空くだけで、感興は薄らいでしまう。なんとかキャッチアップしなくては。2月は1月に比べると幾分か緩やかに予定を組んでいる。まず、能。大きいものは3本。まず、京都観世会館での…