yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『祇園恋づくし』in「七月大歌舞伎」@大阪松竹座7月13日

これは7年前に東京の歌舞伎座で観ている。明るく楽しい舞台で、当ブログ記事にもしている。以下にリンクしておく。

www.yoshiepen.net

今回の配役は以下のようになっていた。

大津屋次郎八/女房おつぎ 鴈治郎

持丸屋太兵衛       勘九郎

指物師留五郎/芸妓染香  幸四郎    

おつぎ妹おその      虎之介

手代文吉         隼人
持丸屋女房おげん     壱太郎

岩本楼女将お筆      七之助

鴈治郎、幸四郎がそれぞれ二役、それも男/女を一人で演じ分けるところに、7年前の洒脱な趣向をさらに進めているのがわかる。この配役を見ているだけでおかしい。そのおかしさは7年前を上回っているかもしれない。若手が打ち揃っての舞台なので、「縛り」がより減じて、だだだっと暴走気味なところに、いつもならそちら側の鴈治郎が抑え役に入るのもおかしい。

7年前の記事にも書いたのだけれど、この演目は落語が元になっていて十七世勘三郎、二世鴈治郎が改訂版を歌舞伎座で舞台化。それをさらに三世鴈治郎と十八世勘三郎も舞台にした。というわけで、「中村屋+成駒屋競演」という先祖伝来の演目ということになる。

ちなみに7年前の配役は以下のようになっていた。

大津屋次郎八/女房おつぎ 扇雀
指物師留五郎       勘九郎
芸妓染香         七之助
手代文吉         巳之助
おつぎ妹おその      鶴松(虎之介の代役)
持丸屋女房おげん     歌女之丞
岩本楼女将お筆      高麗蔵
持丸屋太兵衛       彌十郎

異分子?として配されたのは7年前は巳之助だったのが、今回は隼人と幸四郎。隼人は巳之助のあの「抜け方」はできないけれど、ただ一人正統派の男前として屹立?していた。

で、幸四郎。この人の芸幅が広いことは知ってはいたけれど、コミカルな役に特に存在感があるんですよね。鴈治郎の男女入れ替わりもおかしかったけれど、幸四郎もそれ以上だった。芸妓染香役が一応美しくはあるものの、どこかゲイ風味で(わざとです)、しなしなと出てくるたびに笑ってしまった。

こういう特技を持つ幸四郎に花を持たせるために、今回は勘九郎はワキに回ったのかもしれない。中村屋ファンはちょっとがっかりしたのでは。

江戸ことばと京ことばの丁々発止のやり取りも見せ場の一つだけれど、何と言っても一番のハイライト場面は最後の鴨川の床の場だろう。ちょうど今日は宵山。床では東京ものとご当地ものとの間で似たような場面が展開しているかもしれない。

一つ最後まで気になりながら、判らなかったことが一つあった。それは幸四郎着用の浴衣の柄。江戸前の縞模様と推察してネットで調べても見つからない。ひょっとして京の柄?で、ネットに当たって見たところどうも「源氏香」という柄のようである。まだ確信は持てないのだけれど。