yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

銀河に達した羽生結弦選手の「Blinding Lights (by The Weeknd)」ソロ部 in「スターズオンアイス2021」4月25日@横浜アリーナ

YouTube にアップされた4分ばかりの映像に釘付けになってしまった。なんということ!羽生結弦選手の過去・現在・未来が詰まった映像だった。既視感がありつつも、未知の領野も感じた。

4分ばかりの動画、Blinding Lightsでの彼のソロ部、羽生結弦選手は天体(celestial body)になった!スケーターの群舞は銀河に群がる恒星を表し、中心には天体そのものの羽生結弦選手が舞っている。同時にこの曲が醸し出す雰囲気はどこか懐かしく、celestialの対極にある地上的 (earthy、mortal) 実存を彼が表象しているのを示している。舞い狂う羽生結弦選手はcelestialであると同時にearthyでもある。この二律背反を纏っているように感じた。

銀河といえばスケートリンクと滑り手が一体となって円盤状に回転している銀河系天体になっている。他のスケーター(恒星群)の描く渦巻き状の円の中心にいる羽生結弦選手。銀河中心の電波源は射手座だという。そういえば羽生選手も射手座の生まれ。Celestialな羽生結弦、とうとう彼は宇宙にまで行ってしまったのか(嘆息)。

全身から銀河へと全方向に放射される質量。それは重くかつ軽い。まさにロック。羽生選手とシンクロした天体もロックする。Celestialであると同時にearthyでもある羽生結弦という存在。それがロックする天体の中心にいる。ロックする天体の中心にいる星が羽生結弦というロッカー。

この「ロッカー羽生結弦」には、同時に官能的なまでの肉感性がある。肉感性がcelestialかつetherealな存在と融け合っている。それが身体を這う手と腕の動きに、左右前後に揺られる身体に、脚のオフビートの屈伸と上下左右に捻られる腰の動きに生々しく立ち上がる。

このcelestialとearthyという二律背反をロックで示せるのが「リアル羽生結弦」ではないだろうか。確実にもう一歩、ワンステージ昇ったreal Yuzu!である。「天と地の融合」を再度私たちに目撃させてくれている。帰結部で円陣の真ん中で天に向かって右手をあげる羽生選手。左手はリンクを指している。銀河ステージの不死身性(immortality)を(mortalな)ロック的身体で顕現させてくれた羽生結弦選手。冒頭部、そして最終部でスケーターたちの円陣の真ん中で天に向かって手をあげるreal Yuzuがそれを表わしている。

群舞で他のスケーターたちの中心にいる羽生結弦選手。調和しているようで羽生結弦選手の質量が全てを覆い尽くし、かつ屹立しているようにも見える不思議な空間である。協調しているようで突き放しているようにも見える。その場はどこまでも羽生結弦のためのものである。

この場面、これから先もこの形で、この哲学で進んでゆくという彼の決意表明にも思えた。

羽生結弦選手の選んだロック曲は「Let’s Go Crazy」と「Let Me Entertain You」の演技を見ているけれど、今回の「Blinding Lights」は競技用の選曲でないぶんそれら2曲とはかなり違った印象を受けた。得点を気にせずに自由に滑っているからだろう。肉感的ロックの振り付けが過激なまでに展開していて、「おおー!」となんども声をあげてしまった。

Wikiによると「Blinding Lights」は、カナダの歌手 ザ・ウィークエンドのシンセポップ (Synthpop)の楽曲で2019年11月29日にリリースされた。加えてBBCニュース評、「天才ソングライターマックス・マーティンとの共同作曲、プロデュースによるシンセポップの輝きは、レトロさと現代性を同時に感じさせるもの」が引用されている。さらに「強烈なコーラスは今年最も親しみやすく高揚感のあるものの一つだが、そこには暗い雰囲気も含まれており、それが物事を面白くしている」としている。シンセポップ (Synthpop)とはロックと電子音楽の融合体であり、その結果として「レトロと現代性が同時に感じられる」効果を生んでいるということだろう。それによってロックの強烈さがそれによってどこか懐かしい感じ、親しみやすい感じに転じているということか。

この選曲が羽生選手自身のものであれば、彼の未来に向けての指針を示しているのかもしれない。