yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

大江又三郎師シテの古式ゆかしい能『鶴亀』in「京都観世会1月例会」@京都観世会館 1月10日

一つ前の記事に引用した「銕仙会」能楽事典の『翁』に以下のような解説があった。

この(『翁』の)直後に引き続いて能が演じられる場合、囃子方や地謡は舞台に残り、そのまま能を始めます。この形式を「翁附(おきなつき)」といい、きわめて祝言性の高い、儀式的な演出となります。

この解説にあるように、お囃子方は『翁』陣営のまま移行。これも通常の能の流れとは異なっているのが興味深い。

昨年はこの「翁附」能は脇能の『養老』で、林家の頭領、林宗一郎師がシテを務められた。今年は大江家の頭領、大江又三郎師が務められ、演目はこれまためでたい脇能の『鶴亀』。「翁附」のシテは京都観世の主要なシテ方の職分家及び準職分家の頭領が担うことになっているのだろうか。

『鶴亀』の概要を能楽.comよりお借りする。

いにしえの中国にて。新年を迎えた皇帝の宮殿でお正月の行事が執り行われます。皇帝に仕える官人が登場し、皇帝が月宮殿にお越しになるので、殿上人は皆参上するように、と触れ回ります。皇帝が不老門に現れて初春の日の輝きをご覧になると、万民が天に響く祝賀の声を上げます。宮殿の庭は金銀珠玉に満ちて美しいことこの上ない様子。こうしたなか、大臣が進み出て例年のように鶴亀に舞をさせ、その後、月宮殿で舞楽をなさいませ、と皇帝に奏上します。鶴と亀が舞って皇帝の長寿を祝うと、皇帝も喜び、みずから立って舞います。さらに殿上人たちが舞って祝賀の場を盛り上げた後、皇帝は御輿に乗って長生殿へ還ります。

最近になって謡の稽古なんてことを始めてしまった身には、大江又三郎師の謡がことさら輝かしく眩しく聞こえる。「上手い!」と心の中で叫びつつ注視(注聴)していた。仕舞いもお見事!ちょっと「あれ?」と心配な足さばきの部分はあったものの、全体としては品格の高い舞を舞われた。さすがである。

『翁』に続く『鶴亀』、とても豊かな気分にさせてくれて幕となり、幸福感で一杯になった。