yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『最新調査でわかった日本の古代史 変わる歴史の定説』(宝島社、2019)で明らかにされた「万世一系」論の破綻

古代史は実に面白い、そして奥深い!この書は手引書の類だけれど、非常によくまとまっていた。駒澤大学の瀧音能之教授監修によるもので、古代史研究の新しい動向が、ざっとおさらいされている。

冒頭が「新元号『令和』の由来『梅花の宴』の地を探る」という章なのも、新時代到来を示している。

副題にもあるように、定説とされてきた様々な説を、違った角度の視点を導入して検証し直すという姿勢が新しい。これからの古代史の方向性を端的に表しているようだった。とくに縄文文化の検証が興味深かった。工藤隆氏の大嘗祭についての論考を読んだところだったので、とくにそう感じた。

「卑弥呼の正体は天照大御神だったのか」の章は古代日本では女性が権威者として君臨したことを神功皇后を例にとって論じたもの。卑弥呼は神功皇后だったという説も紹介されている。彼女は他の古代女帝と比べても格段にシャーマン的要素が強いのだという。とはいえ、神話上の人物である天照大御神が卑弥呼というのには無理があるとのこと。これは従来説と同じではある。何れにしても、古代、女性がリーダーだったと論じているのは、工藤論と同じである。まさに古代、ヤマトは女性原理に支配されていたのだ

もっとも興味深い章は、「越の国からやってきた継体天皇」の章。継体天皇は当時の大王家に後継がいなくなってしまったところ、応神天皇の5世孫で越(こし)の国出身の継体天皇が選ばれたとか。継体天皇は仁賢天皇の皇女と婚姻関係を結んだので、大王家とは女系で結びついていた。だから彼は、入り婿によってヤマト王権に迎えられたことになる。「万世一系」論者は、すでに「万世一系」そのものが破綻していることをしっかりと見据えて欲しい。継体天皇は「万世一系」の天皇ではない。

「男系男子」派は、「女系からの皇位継承」が史実として存在したことを重く受けとめるべき。女系は普遍のコードだったんですよ。櫻井女史やその他の男系論者もそれを認めるべきでしょう、自身の無知蒙昧をこれ以上露呈させないためにも。