yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「(ヤマトの伝統に於ける)天皇存在には「女性原理」色が濃厚」、だから「敬宮愛子さまが次の天皇陛下」は伝統に則っている

「女性原理濃厚な天皇存在」とは工藤隆著『大嘗祭』(中公新書、2017)の付章(最終章)の項目の一つである。ちなみにこの最終章の項目一覧を挙げておく。その中でも核心部がこの⑥項である。

① 民主憲法と大嘗祭

② サカツコの復活が求められる

③ 偏った「古」像が近代の皇位継承を不自由にした

④ 皇位継承の危機的状況と女系天皇論

⑤ 男系優位になるのは六世紀ごろから

⑥ 女性原理濃厚な天皇存在

⑦ 天皇文化はアニミズム系文化の貴重な文化遺産

この一覧を見ただけでも、古代に遡る工藤氏の大嘗祭検証の方向性がわかる。

③の「偏った『古』像」とは「男系男子」信者たちが信奉する「古」像を指しているのだろう。その「古」像とは、「天皇が万世一系であり、皇統は男系のみで繋がれてきている」という誤解・曲解の上に成立している「古」像である。古代天皇家、つまりヤマト王権は、女性原理に強く支配されていたと工藤氏は主張する。その例証が第⑥項の論考に繋がっているのである。女系・女性天皇は男系男子が途絶えたときのみのピンチヒッターではなく、むしろ女系・女性天皇を積極的に推す姿勢である。なぜなら、⑦に詳しく論じられているように、私たち日本人の心性の拠り所となっているのが「天皇」であり、その天皇が表象する天皇文化は「((女性原理に彩られた)アニミズム系文化の貴重な文化遺産)そのものだからである。

⑥の「女性原理濃厚な天皇存在」で工藤氏が展開する論の一部(290頁−293頁)を引用させていただく。

卑弥呼・アマテラス・斎宮・サカツコ

 卑弥呼が登場する弥生時代の倭国では、母の系譜でたどる母系も用いられていた可能性がある。(略)『古事記』の綏靖天皇(二代)から開化天皇(八代)までの「欠史八代」の天皇の系譜の中には、皇后の系譜の中にではあるが、「女性始祖伝承」の痕跡が見られる。すなわち初期天皇制では母系(女系)も存在していた可能性があるという古代史学者による指摘がある。(小林敏男『古代王権と県・県主制の研究』)。(略)

 そのうえ、高天の原神話では、女神アマテラスの孫ホノニニギが地上に降りて初代神武天皇へと系譜がつながるのだから、そもそも天皇氏族の始祖そのものが<女>なのである。この点について、皇位継承男系絶対論者は、系譜の問題を考えるときには、“神話”段階の伝承は捨てて、『古事記』『日本書紀』に記述された系譜だけを見るべきだと主張するようだ。(略)男系優位になるのは六世紀ごろからであり、(略)河内祥輔説によれば実は雄略天皇から敏逹天皇までの系譜は「女系の血統」だったのであり、それらが最終的に八世紀初頭の記紀編纂時に(男系へと)文字で固定されたと考えれば、天皇は初代からすべて男系継承だったとする記紀の記述は、これもまた“神話”の一つだとすることができるのである。

 すでに述べたように、弥生時代の邪馬台国では、宗教的超越性を<女>が担い、行政の実務性を<(血縁の)男>が担うという二重構造王権システムが形成されていたのであり、そのシステムは天皇氏族が覇権を握ったあとには、天皇と斎宮(天皇の女性血縁者)のセットとして継承された。また、神祇令の三本柱(「新嘗祭」「鎮魂祭」「大祓」)の原型的な祭儀は、すでに邪馬台国の卑弥呼の時代に形成されていて、それがのちの天皇国家の祭祀として継承されたと推定される。特に「新嘗祭」の原型の原ニイナメの主役は<女>だったのであり、その反映が記紀神話の中のアマテラス・カムアタカシツヒメなどの姿になった。やがて、六〇〇年代末にはこの「新嘗祭」が天皇位継承儀礼と結びついて、「大嘗祭」になった。その大嘗祭には、その前段の稲にかかわる部分での「造酒児[サカツコ](造酒童女)」の存在に、<女>が主役だった原ニイナメの残影を伝えた。

 鎌倉・室町・江戸時代の武士政権になると、天皇制は行政の実権を失ったが、女性が主役だった宗教的超越性の部分に特化することによって天皇制を存続させた。つまり、天皇制のごく初期段階においてはもちろん、中世・近世期においては特に、その女性的性格が宮中祭祀など天皇文化として濃厚に継承されてきたのである。

 このように、天皇文化全体を貫く濃厚な女性原理を重視すれば、女系天皇もまた皇位継承の許容範囲に入ってくるのではないか。

(中略)

アニミズム系文化の女性原理

 女性原理を濃厚に内在させている天皇文化は、「母なる地球との関係が危機的状況にある今」こそ、その存在の貴重性を世界に向かって表現し続ける役割を帯びてもいるのである。私は天皇文化を超一級の無形民俗文化財だと述べてきたのだが、アニミズム的な女性原理を体現した文化でもあるという視点から

見れば、自然破壊、放射能汚染の拡大などで、「母なる地球との関係が危機的状況」に陥り始めている現在にあっては、地球全体にとっても超一級の無形民俗文化財になっていると感じている。

非常に力強く説得力のある女性・女系天皇肯定論である。「女性・女系天皇」が世界に向けて、「(地球フレンドリーな)女性原理に拠る天皇存在」を発信することにもつながるという工藤氏の主張。コロナ禍で呻吟する日本、世界に向けても大きな意味を持つかもしれない。天皇・皇后両陛下、そして次の天皇になられる敬宮愛子内親王の存在は、事実私たちの心の支えとなっている。

昨年の即位礼正殿の儀の日(10月22日)、天皇陛下が宣明されるときには、重く立ち込めていた皇居上の雲が払われ、美しい虹がかかった。まさにこの令和の御代を賀ぐかのように。画像をネットからお借りする。

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また、皇居上空には鳳凰に似た雲が。これもネットからお借りする。

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さらには大嘗祭(11月14日)の二日目には、出雲大社上空に鳳凰が飛んでいた。雲の写真をネットからお借りする。

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鳳凰は名君の世を表しているとか。まさに今の天皇陛下が名君であり、由緒正しい天皇であることの証であるだろう。