yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

尾上右近さんの心意気−−「京都観世会会報」への寄稿が素敵だった件

歌舞伎で「右近」というと、市川右近、尾上右近と二人だったのだけれど、市川右近が2016年5月に市川右團次を襲名してからは、右近といえば尾上右近のみとなった。この方、かなり前から私は注目していて、当ブログにも何回か挙げている。ご興味のある方は「尾上右近」で検索を。

1992年生まれの28歳、若い!しかも母方曽祖父があの伝説の六代目(菊五郎)というんですからね。加えてお父上が清元宗家の六代目延寿太夫。右近本人も清元では「栄寿太夫」を名乗っている。栄寿太夫としての実際の舞台(お父上、兄上との共演)を見たけれど、なかなかの健闘だった(2018年歌舞伎座での『十六夜清心』)。ただ、歌舞伎役者としての方が、彼の本領発揮だとは感じたのは事実。音羽屋には菊五郎、菊之助という星(スター)が燦然と輝いている。だから彼としてはかなり口惜しい思いをしている?のではないだろうかと、勝手に想像している。

彼が広く認知されるきっかけは、猿之助の『スーパー歌舞伎II ワンピース』で、猿之助が怪我のため主役が右近に交代してからだろう。いとも軽やかに宙乗りをこなすのを見て、彼のファンになった若い層も多かったでしょうね。何しろ彼女たちの間では彼は「けんけん」と呼ばれているというんですからね。

今のところ、右近は女方にカテゴライズされている。それをぶち壊すべく挑戦したのが『ワンピース』だった?彼は女方、立ち、両方演じられる役者だと思う。限りない可能性を感じる。

それを裏付けたのが京都観世会の6月会報。なんと巻頭文に尾上右近の献辞が載っていたんですよ。PDFファイルでアップさせていただく。

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ここから興味深い背景が読み取れる。右近が観世銕之丞師の稽古を受けていたことがそれである。願わくば、ずっと能の謡と仕舞の稽古を続けられんことを!

そうそう、右近は中村壱太郎と組んでの斬新な試みをYouTubeで動画公開している。また、自分のチャンネルも持っているようである。リンクしておく。

www.youtube.com

そこに付いたメッセージが以下。

初めまして!歌舞伎俳優の尾上右近です。 日本の伝統芸能である歌舞伎や日本舞踊をより身近に、そして清元唄方として純邦楽、三味線音楽を紹介できたらと、YouTubeチャンネルを開設しました。 チャンネル名は「歌舞伎人 尾上右近 / Kabuki-jin Ukon Onoe」です!是非覚えていただけたら嬉しいです!

なんとも可愛い方!私としては、彼が荒城真吾さんにタペストリーを寄贈していたことで、彼が「本物」だと確信している。