yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

劇団荒城の「三番叟」は正統派@篠原演芸場 1月2日、3日

劇団荒城の「三番叟」が秀逸と聞き及んでいたけれど、実際の舞台はそれ以上だった。今までに見てきた大衆演劇での「三番叟」とはかなり違っていた。もっとも私が見てきたのは主として拠点が関西の劇団のもの。大抵は歌舞伎の、それも崩した形の「なんたら三番叟」を模したものが多かった。良くいえば華やか、実際には崩しまくり。堅苦しくなくていいんですけどね。

荒城さんの三番叟は「寿式三番叟」を踏まえたもの。背後に影向の松。八人の役者たちの衣装は文楽の「寿式三番叟」で人形がつけた衣装であり、歌舞伎の「寿式三番叟」の衣装でもある烏帽子を付けた華やかなもの。もちろん足袋は能で演じるのが狂言方ということで黄色。ネットに人形の写真があったので、お借りする。

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もちろん元型は能『翁』の後半部の三番三(狂言方が演じる)の舞踊部。日本舞踊・歌舞伎・文楽はそれを独自の解釈で自前のものにしたてあげた。昨年の安倍首相夫妻主催「即位礼正殿の儀」の晩餐会映像でこの三種の「三番叟アンサンブル」を見ることができる。記事にしている。

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荒城の「三番叟」は歌舞伎のものとも違っていた。もっと祭儀性を際立たせたもので、その意味では能・狂言以前の古式に近いのかもしれない。と言いつつ、どこかしらモダン。後ろ幕の「影向の松」は緑ではなく白抜きで中に「劇団荒城」の文字が。その幕が上がって鈴の段になってからは、赤毛氈を敷いた台を中心にして踊る。音楽は文楽で使われるあの「寿式三番叟」。リズムが小気味好くアップ・ダウンを繰り返すのに合わせて、踊りもアップ・ダウンを繰り返す。この単調さがある意味新しい。もっとも古いもの(古層)ともっとも新しいものとがリンクしているように見えた。鈴を持ってからはだんだんとテンポが上がり身体的にはかなりきついだろうけど、弱音を吐く人はなし。すごい! 

これを元日夜、二日昼夜、三日昼夜と演じると、後が大変だと想像するのだけれど、荒城の役者さんたちはまったくそんな風情を見せないのが、すごい!舞踊ショーではこの「すごい!」を連発して見惚れていました。