yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

劇団荒城『清水一学』@浅草木馬館 10月19日夜の部

昼・夜の芝居替えで奮闘の劇団荒城。明日までは(荒城真吾総座長ではなく)勘太郎座長が仕切る舞台。その前週は真吾総座長が仕切っておられたらしい。明後日からは平常通りの「劇団荒城」に戻るとか。つまり、真吾さんが「大型新人」から総座長に復帰される?口上でも真吾座長がおっしゃっていたけれど、なんかおかしい。とにかく無条件でカッコイイ真吾座長、もうお手上げです。手放しで礼賛するしかありません。降参。

昼・夜ともに「超・超インテンシヴ」劇のオンパレード!どう「やりくり」したらこういう「挑戦」が可能になるのか。もう凡人の私には理解不能です。芝居のほとんどがありきたりの「旅芝居」の狂言ではなく、劇団荒城の創作劇。私が今までに見てきた大衆演劇中、ここまで「無謀な挑戦」をする劇団はなかった。ホント、真吾さんがいてくれてよかった!

それにしてもとにかく濃い、凄い!「凄い!」としか言いようがない。東京の皆さま、この凄い舞台を見ないと、大衆演劇の最もイキの良い舞台を見逃すことになりますよ。とんでもない舞台です。ホント、大衆演劇の最も良質の舞台。ホンモノの芝居が観たいなら、絶対に見逃せません、ピリオド。

荒城が浅草に乗っている期間に、東京に居合わせた幸運に感謝している。 

今日の夜の芝居は『清水一学』。副題が付いていたのだけれど、確認しそびれました。書き出し一覧の前に座っておられた年配男性、三吉演芸場がいかに大入りだったかを大声で宣伝していたのでちょっと引いてしまい、スマホに撮りそびれました。三吉に乗った劇団は芝居はそっちのけで、ひたすら舞踊に注力していますものね。それがイイと思う人が多々いるのに失望していたのですが、今日は溜飲が下がった思いです。「舞踊ショー命」の風潮に乗らない「劇団荒城」に感謝!真吾総座長に感謝。あなたほどカッコイイ役者はいませんよ、真吾座長。

芝居で始まり、芝居で終わるという、昔の旅芝居の舞台組み立てをそのまま踏襲した舞台。第一部が「前狂言 清水一学」、舞踊ショーを挟んで第三部が「哀しみのクロス」。

『清水一学』は『忠臣蔵』外伝の一つになりそうな芝居。吉良方の侍、清水一学と、浅野方の侍、堀部安兵衛との深い友情がテーマ。もちろん史実ではないだろうけれど、歴史の隙間に光を当て、そこに生じるドラマを描いてみせるという「挑戦」に感動。歌舞伎が昔からやってきたこと。それを旅芝居の側から呈示してみせるというところに、真吾座長の心意気と、大衆演劇界への失望を感じてしまう。堀部安兵衛と清水一学との友情がテーマではあるけれど、そこには同性愛的なニュアンスがあることを感じてしまった。誤読ならご容赦。

切狂言の「哀しみのクロス」にも同様の「匂い」を嗅ぎとってしまう。「天草四郎」がどう「創りあげられた」のかを、「外伝」の形で示すという意欲的な作品。ここにも、男同士の抜き差しならない情がアップされている。真吾さんと勘太郎さんの「密接な」愛着の度合いを確認させられた。

今年一月に篠原演芸場で、また昨年には数回関東で「劇団荒城」を観ている。今度改めて確認できたのが、勘太郎さん、蘭太郎さん、月太郎さんの目覚ましい力量アップ。ただ感動!馴れ合い感がまったくない舞台。それぞれの方がモーレツに努力されたのが判る。一年もならない間にここまでの進化。真吾さん、そしてご子息方の並々ならない意気を感じた。