ぶっ飛んだ演出だった。元のストーリーは忘れてください。50分に収まるよう、端折り、組み替えてできた作品。それにしてもよくできていた。とてもわかりやすかった!真吾さんの「解説」・フォローのおかげかもしれませんが。
大きな流れは原作通りなのだけれど、元の作品にある大工の熊(真吾)と吉原の女郎屋女主人との絡みはなかった。つまり悲壮感は薄らいでいる。文七(虎太郎)も原作では手代のところ、ここでは番頭(出先で碁を打たせてもらえるほどの文七を勘案?)。また、熊が帰宅してからの女房のトラ(勘太郎)との諍いもかなり省略化されていた。もっともキモになるところは、最大限デフォルメされていた。こういう演出もアリだと思った。ぜひこのバージョンで大阪・神戸に乗って欲しい。受けること間違いなし。
虎太郎さんと勘太郎さんがいい味を出していた。もちろん真吾座長もいつもながらにめっぽう行けていたのだけれど、こちらは予想通り。虎太郎さんと勘太郎さんはどちらかというとニンではない役柄でここまで「善戦」だったのが意外だったし、おかしかった。そしてもっとも意外でおかしかったのが熊とトラの娘役が姫川豊さんだったこと。かわいい(?)娘御でした。
ちょうど4年前に歌舞伎座にこの狂言がかかった際、女郎屋に売られる熊の娘役を尾上右近が演じていて、いたく感心したことを思い出した。
彼に注目した最初だったのだけれど、その後『ワンピース』主役に抜擢されたりと、活躍がめざましい。
今回の木馬館公演で目にしたのが尾上右近さんからの「劇団荒城さんへ」のタピストリー。一昨日やっと寄贈者名が読めました。