yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

能舞「務古津比売命(むこつひめのみこと)」弓弦羽嶽大祓祭祀@弓弦羽神社 10月12日

いただいたプログラム解説によると、この大祓祭の趣旨は「務古津比売命」(巫女神)が宣り下して参集者の罪穢れを祓い清める」というもの。なんでも日本古来のアニミズム的自然神崇拝が背景になっているという。つまり、宗教、宗派を特定しない祭祀ということだろうか。御神体の弓弦羽嶽とは六甲山のこと。

前後に挨拶、解説等があり、能そのものは1時間弱だった。林宗一郎師、河村和重師が監修されたこともあり、短いながらも濃密な能に仕上がっていた。演者一同も素晴らしかった。その場でこれを見た人は、大満足だったに違いない。

 以下が演者一覧。

シテ 務古津比売命  河村浩太郎

ツレ 善女竜王    河村和晃

笛   杉信太朗 

小鼓  曾和鼓堂 

大鼓  谷口正壽 

太鼓  井上敬介  

地謡  河村和重 河村博重 田茂井廣道 河村和貴 樹下千慧

後見  林宗一郎 味方團

務古津比売命の衣装、竜王の衣装、ともに清らかでな感じが強調された者。竜王は剣を持って舞うのだけれど、剣さばきが優雅。榊を持って舞う比売命はさらに優雅。比売命の舞は『三輪』の後シテ(三輪明神)の神楽の舞ととても近かった。白装束や榊もそうだけれど、頭を屈めて仰ぎ奉るという動作、次第に速くなるテンポ、そしてそれを煽るお囃子や謡に既視感(既聴感)が。

最後は比売命と竜王の連れ舞いになる。双方ともに扇を持って、まさに「琴瑟相和す」感じ。若々しく初々しい神さまたちだということが、こちらにも伝わってくる。このお二方、最後にはダーッと走って奥に引っ込んでしまわれた。この後、しばし静寂の空白。観客のみなさん、感動していたのだろう。

野外の薪能はマイクを使うことが多いけれど、この時はシテとシテツレのお二方のみがマイクを使われていて、お囃子、地謡はマイクなし。これは勇気がいっただろうけれど、厳粛な雰囲気を醸し出すには効果的だったと思う。ピュアな神事だということが、ビンビンと伝わってきた。

この日は風が強く、薪の火入れは中止になった。ただ、照明がとても良かったので、不満はない。また、かなり気温が下がっていて、1時間強でもかなり辛かった。ダウンジャケットの方もいたような。三百人を超える観客が、咳も瞬きもほとんどせずに舞台に集中するさまは、今までに見てきた薪能とは違った雰囲気だった。以下は開演前(午後6時40分)の舞台風景。かなり悪い写りだけれど、感じだけでも。なお、赤い敷物が敷いてあるところで、能は演じられた。

 

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