今月は歌舞伎のための東京遠征はなし。歌舞伎座第一部は以前に南座で見てあまり面白いとは思わなかった獅童・松也の『あらしのよるに』が。第二部の勘九郎が松王丸を演じる「寺子屋」は見てみたい気はするし、第三部の玉三郎の「二人椀久」と「道成寺」も見てみたいんですけどね。行くつもりなら10月あたりにチケットを確保したのだけど、ヨーロッパにオペラを観に行くかもなんて考えているうちに、機会を逃してしまった。オペラの方も頓挫。これは多分1月か2月になりそう。今までのような馬力がなくなってきたのかもと、自己嫌悪。1月には東京に歌舞伎を観に行く予定、それも3劇場なので、まあ、いいかと自分をなだめ(?)ている。
代わりにといってはなんだけど、能の公演を4本見ることになっている。「能にハマるとやばいのでは」とずっと思ってきた。私には「聖域」だった。ただ、そういう心配は杞憂だったようで、私のキャパを超えたところに能はいつも聳え立ってきたし、今も聳え立っている。でもここでちょっと腰を据えて能に対峙したいと考えている。合わせて世阿弥の芸術論も読んで行きたい。どなたか一緒に読書会をやってくださる方はいらっしゃらないでしょうか。
能との関連でゆくと、ポール・クローデルの『繻子の靴』を見る。延々8時間にも及ぶ長丁場なので、連れ合いがホテルを取ってくれた。覚悟しての観劇。それでも渡辺守章さんの演出で見られるという、得難い機会。楽しみなような、怖いような。
METライブヴューイング、英国ロイヤルオペラ、それに英国ナショナルシアターライヴ、ブラナー・シアター等の海外のライヴ映像も見る予定。それにしても昨今のこのライヴ映像の世界に向けての放映、画期的ですよね。日本にいながらにして世界のトップ集団のオペラ、バレエ、芝居が見られるんですよ。なんという贅沢!おそらくパリのオペラ座もこういうプロジェクトに乗り出してくる?すでにそういう企画があるのかも。
映像関係では「劇団☆新感線」の「ゲキxシネ」も見る予定。映画になっているのが、本当にありがたい。現代版歌舞伎ということで行けば、やっぱり外せませんよ。
クラッシック音楽、12月は「メサイア」をほぼ毎年聞いてきたけど、今年はちょっと無理。代わりに新歌舞伎座で「第九」を見る(聴く?)予定。
大衆演劇は「劇団花吹雪」も「恋川純劇団」も12月はお休みなので、私も観劇はお休み。この二つ以外の大衆演劇の劇団には失望することが多く、この二劇団以外は見ないと決心。7年にわたって見てきた大衆演劇の劇団。演劇としての質もさることながら、観客のレベルの低さに唖然とすることが多くなってきた。私自身に以前のような「寛容さ」がなくなってきたということは、私も歳をとったんでしょうね。一応一通り(50劇団)は見てきたので、(研究のための)「フィールドワーク」はおしまい。あとは自分の楽しみのためだけに見ることにした。とはいえ、大衆演劇(旅芝居)は日本の芸能を語る上で外せないジャンル。いずれまとめて出版したいと考えている。英語でと考えているので、なかなか進まない。
歌舞伎論の出版も考えている。歌舞伎の新潮流とその将来に向けての取り組み(New Kabuki and Beyond)を書く予定。こちらも英語で。日本語で書くより何倍も大変だけど、世界に向けての発信の観点から見れば、選択肢は自ずと一つ。密かに私にしかできないだろうと自負している。ここまで「大見得」を切った以上、頑張るしかないですね。