yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『ご存知一心太助—天下の一大事—』たつみ演劇BOX@新開地劇場10 月1日初日夜の部

阪急三宮駅から徒歩で劇場まで行くつもりで早めに出たのに、阪急神戸線が止まっていて、西宮北口から今津線経由で阪神電車に乗り換える羽目に。結局20分の遅刻。しかも途中、仁川駅で阪神競馬の帰りの人、それに試合のあった甲子園帰りの人の渦に巻き込まれ、散々だった。

お芝居は以前に二回見ている。2014年9月の京橋公演を記事にしているので、リンクしておく。

一心太助はおそらくは架空の人物。以下、Wikiからの引用。

一心太助は百姓であったが、あるとき領主の大久保彦左衛門に意見したのが気に入られ、大久保家で奉公することとなる。
大久保彦左衛門の皿を誤って1枚割ってしまった腰元お仲が手討ちで殺されそうになるのを、一心太助が知る。一心太助は彦左衛門の前で残りの皿7枚を割り、彦左衛門がお仲および一心太助を許す。一心太助は、お仲と結婚し、武家奉公をやめてお仲の実家の魚屋で働くこととなる。その後も、彦左衛門に意見し協力することとなる。

講談、歌舞伎、映画、テレビドラマ等のメディアに取り上げられ、人口に膾炙するようになった。同タイトルの映画版がある。沢島忠監督、中村錦之助主演、1958年東映のもの。

歌舞伎版を中村獅童主演で見ている

たつみ版では一心太助と将軍家光を交互にたつみさんが演じることで笑いを取る仕掛け。この演じ分け、結構大変だと思うけど、そこは「役者」。それぞれもっともらしく映った。さすがです。特に侍言葉のところ、太助が成りすましているという心持ちで、ちょっと外すところなど、感心した。この外しで笑いを取るわけで、喜劇に強いたつみさんならではの説得力。

大久保彦左衛門役の小龍さん、最初見た折には驚いたけど、こう何度も見ると彼女でなくてはならないような気がしてくるから不思議。途中、たつみさんの暴走に困り気味なのは、いつものこと。でも軽くいなしてアパッレ。

愛飢男さんが戻ってこられていて、嬉しかった。途中で例によってたつみさんの「いじり」が入ったけど、なぜか大人し目。あと、舞踊のときも大真面目に踊られて肩すかし。路線変更?

今回の新開地公演は1年1ヶ月ぶり。たつみさんの口上でちらっとだけ演目発表が。残念ながら控えていない。たつみ演劇BOXの持ち狂言で、歌舞伎系のものは大方入っているようだった。それと小龍さんのお誕生日公演が22日とのこと。それに遡ること4日の18日に彼女の脚本の歌舞伎芝居がかかるとのこと。聞き間違いだったらご容赦願いたいのだけど、たしか『盟三五大切』(かみかけてさんごたいせつ)だったと思う。四世鶴屋南北の作品。興味のおありの方のため、ネットでの解説をリンクしておく。

私は2011年の「コクーン歌舞伎」にかかったのを見逃していて、この1ヶ月ばかりの間、見たいと切望していた作品。というのも最近長谷部浩著『菊之助の礼儀』に言及があったのを読んだところだから。この本は同じく長谷部氏の書かれたた『菊五郎の色気』(文春新書、2007年刊)の流れで読んだもの。いずれの著書も音羽屋を通して見る優れた「歌舞伎紹介」になっていた。『菊之助の礼儀』(新潮社、2014年刊)の中に菊之助が串田和美演出のコクーン歌舞伎『盟三五大切』に出演した折の彼の果敢な「挑戦」への言及があった。「菊之助はおそらく小万役だろう」という予想を裏切っての立ち役、それも三五郎。彼が語るには、「松竹からお話があったときに、三五郎をやらせてくださいと、自分から言いました。(中略)父に三回反対されたのに、強い要望を出して、たまたま叶いました」。さらに続けて、「南北物で、三五郎はどちらかというとアウトローで、そういう線の役は経験がなかったので、非常に冒険でした」とも述べている。難しい役への挑戦はきっとやりがいがあったに違いない。次にかかるときは、見逃さないようにしたい。できれば串田和美演出のものを。彼ほど先鋭的な演出をする演出家は今のところ見当たらない。

小龍さんがアレンジした『盟三五大切』、見てみたいのはやまやまだけど、三五郎役がゲストの都若丸さんと聞き、諦めた。ファンが詰めかけ、席を取るのは至難の技だろうから。