yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「素襖落」の巳之助@京都南座3月17日昼の部

初日は2階席だったのだが、今回は前から7列目の上手席で、役者の表情までよく見えた。表情が見えるとずいぶん感興がかわるものだと、あらためて認識。気になる芝居は2回以上観た方がいいのかもしれない。財布の中身を気にしなくても良いならばの話だけど。

で、分かったこと。三郎冠者の巳之助が良かった!間近でみると、ホントお父様の三津五郎さんそっくり。ボーッとしているところが、お父様の佇まいとは違っているのだけど。それでもじっとしていてもきちんと演技しているところは似ている。太郎冠者の松緑が浮かれながら踊っているのを「冷たい目で」観ているさま、よかった。でも冷たさがそのちょっと間抜けた感じを通して出て来ると、なにかほのぼのしたサマになるんですよね。少し前にみた猿之助との『上州土産百両首』での牙次郎役でも、彼はその身体的特徴と風情をうまく活かしていた。この三郎冠者も彼のニンにぴったりだった。2年程前に彼を初めて観た時、「下手!」と思ったのが認識不足だったことに気づいた。三津五郎と同じキャラを期待してしまったからがっかりしたのだと思う。顔は似ていても役の捉え方、演じ方は違っているということ。

松也はちょっと痩せた所為かもしれないが、元気があまりないように見受けられた。もちろん声はいつものように歯切れはよく、よく通るのでその点では裏切られなかったけど、以前の松也ではなかったような。それは「吹雪峠」でも感じてしまった。