yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『古里の兄』劇団春陽座@梅田呉服座2月25日昼の部

他劇団、とくに九州系で観たことのあるお芝居。タイトルは違っていたけど。

一宿一飯の恩義のため、縁も所縁もない別の一家の男を斬ってしまった旅人(かずま)。この男には妻(かな)と生まれたばかりの子供がいた。一方、やくざ稼業から足を洗い、いまでは百姓になり、妻(真緒)と平穏に暮らしている男(心)。彼はいまだやくざ稼業を続けている弟の身を案じている。この冒頭から、斬られた男が百姓になった男の弟であることが察せられる仕組み。

百姓になった男のところに弟の妻が訪ねて来る。赤ん坊と夫の遺骨を抱えて。嘆き悲しむ男。とりあえず亡くなった弟の妻子を奥に連れて行き、休ませることにする。

そこに一人の男がやくざに追われて手傷を負って逃げ込んで来る。その顔をみて、百姓の妻はそれが弟であることに気づく。男も驚く。男は姉にやくざに追われていると打ち明ける。近くに妻子を匿っているが、食べるものを調達できないので食料を恵んでくれるようにいう。食料を用意する姉。弟から話を聴くうちに、彼こそが夫の弟を殺めた本人であることに気づく。夫への義理が立たないと、食料を渡すのを拒否する。訝しがる弟に、事実を話す姉。

奥から夫が出て来る。手には鎌が。潔く彼に討たれようと観念する弟。妻は必死で弟を庇う。九州系劇団はこの場面をこれでもかこれでもかと思い入れたっぷりにみせる。くどくて嫌い。夫は男を討たない。かわりに食料を彼に与え、そのまま去らせる。夫の情けに涙する妻。

そこへ弟を追ってやくざ一家が飛び込んで来る。目指す相手がいないのを見て取って、そのまま後を追う。手傷を負っている弟がこのままではやくざに殺される。妻は夫に弟を助けてやってくれと懇願する。逡巡する夫。奥から弟の妻が出て来て、妻の弟を助けてやって欲しいという。これ以上嘆き悲しむ妻子を作りたくないと言って。それを聞いて決心し、ドスを抱えて飛び出す夫。

やくざ一味に取り囲まれた男のところに、姉の夫が駆けつける。やくざを打ち負かし、男を妻子のもとに送り出す。男は駆けつけた妻に自分は番屋に名乗って出るから、弟の妻子の面倒をみてくれるよう依頼する。引き受ける妻。

九州系では妻サイドの葛藤と夫サイドの葛藤がねっとりと畳み掛けるように描かれていた。大仰な演技で。春陽座バージョンはそこがあっさりしていた。こちらの方がリアル。くさい演技(しばい)ではなく、心理的葛藤をあくまでも表情、さりげない仕草で表していた。この方がはるかに難しい。心さんの演技、繊細で説得力があった。

喜劇、悲劇を問わず一級品の芝居を魅せてくれる数少ない劇団のひとつである。下手な人がいないのが、すごい!