今日は冬将軍到来で先週までの温かさから一変、身体の芯まで冷えるような寒さでした。それでも小屋は熱気に包まれていました。先日夜の部におじゃました折に、呉服座名物(?)の年配の男性がいらっしゃらなかったので、ちょっと心配したのですが、今日は元気にかけ声をかけておられたので、ほっとしました。この方、「この劇団、いいやろ。うまいやろ。この役者、大したものやろ」と来場している人に声をかけて回られるのです。
小屋の主のようなこの方、池田の街の温かさを肌身に感じさせて下さいます。「やっぱり大阪の街だな」って思います。私の住む宝塚(兵庫県)はすぐ傍ですが、こういう人情味はありません。そこにほんわかした雰囲気の剣戟はる駒座はピッタリはまる気がします。座長の雰囲気はまさに地元のものです。通天閣的というより、郊外の雰囲気の方なのです。
今日も今日とて池田駅前では「落語ミュージアム」の宣伝をしていました。池田は「文化の街」なんですよね。小林一三翁のコレクションを集めた逸翁美術館だってこの近くなんですよ。ここには重文級の美術品のコレクションもありますし、また宝塚創立当時からの関連文献を集めた池田文庫も統合されています。れっきとしたカルチャーの街なんです。それでいてどこか懐かしさを感じさせる街でもあります。呉服座へ行くときに抜けてゆく商店街もまさにそういう雰囲気のところです。
お芝居のタイトル、違っているかもしれません。呉服座の玄関を出たところに演目の貼り出しがあり、それで確認するつもりがそのまま帰ってしまいました。内容自体は以前にいくつかの劇団でも観たものでした。
主人公の留八(小虎さん)はある一家の娘を助けたことでその一家の者になったのだが、今やその娘の入り婿になるよう、親分(龍治さん)にいわれている。留八を弟分としてかわいがっている一家の代貸の源太(座長)もそれをわがことのように喜んでいる。しかし面白くないのは、先輩格の文太(隼さん)で、一家の用心棒の侍(倭さん)と組んで、一家に放火する。
燃え盛る火の中に飛び込んで親分と娘を助け出したのは留八だった。しかし、その時に顔に火傷を負ってしまう。また、用心棒と文太が謀り、親分、娘を助け出したのは文太ということにしてしまう。
娘は留八の顔のひどい火傷に嫌気がさし、文太と祝言をあげることになっている。親分もすっかり娘の言いなりで、留八のことは煩わしく思っている。祝言の日、源太の勧めで留八も出席することになる。悶々としている留八に母(はるかさん)は短気を起こさないよう戒め、つば止めをしたドスを渡す。
「化けもの」呼ばわりされ婚礼の場で散々恥じをかかされる羽目になった上、親分には盃を水に返すといわれた留八、思わずドスに手をかけるが源太に止められ、二人で帰って行く。しかし留八は外で親分たちが出てくるのに待ち伏せをかけ、親分、娘、そして手下たちを皆殺しにする。しかし彼自身もひどい手傷を負い死んでしまう。あわてて駆けつけた源太。留八を抱きかかえながら「惜しい男を亡くした」と嘆く。
お客さんたちの紅涙をしぼったのは、はるかさんの名演技でした。さりげないからだの動き、目線、せりふにいたるまで、もう非の打ちどころのない完璧さでした。彼女が登場するだけで、お芝居がレベルアップするというか、真に迫るものになります。身体が芝居になっているのです。女優さんでこういう方はあまりいません。劇団新感線の高田聖子さん、あるいは藤山直美さんくらいでしょうか。
舞踊ショー、一番おもしろかった(いい意味です)のは、ショーの2番目の倭さんの「Love is Over」でしたが、写真を撮っていません。実は数ヶ月前からiPhoneのカメラが故障、使っていなかったのですが、ショーの途中でためしに撮ってみたらいけたので、3番目の舞踊から撮影をしました。でも終盤近くでまた故障で、最後の「かぐや」(斬新なショーでした)は画像なしです。「