yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

三島研究者 ボリス・アクーニンへのインタビュー@NHKロシア語講座

あなどるなかれNHK。ここの教育チャンネルはスグレモノである。早朝の番組にはほとんどはずれがない。

「ロシア語講座」なんて数えるほどしか聴いたことがなかったのに、たまたま食事をしていて行き当たった。以前は講師の沼野 恭子さんがロシア文学者の沼野充義さんの関係者だろうなんて思ったくらいの印象だった。私は大学での第二外国語にロシア語を選んだので(ほとんど忘れてしまったけれど)、ときたま懐旧の念(?!)に浸りたいときに10分程度聴くことがあった。

今日はずっと聴いてしまった。とても魅力的な男性がインタビューされていたから。それが三島研究でも知られるボリス・アクーニンだと途中で分かった。なんと、アクーニンは日本語の「悪人」をもじったペンネームだというのである。「ほんとうのロシアは政治家や将軍にではなく、作家にある。また作曲家や画家にある。僕ではなくて、ドストエフスキーやトルストイにね」ということばに、思わずうなずいてしまった。

そこでネットで調べたら、Wikiには次のようにあった。

「現グルジアのトビリシ生まれ。モスクワ大学アジア・アフリカ諸国大学(ISAA)で日本研究を専攻。卒業後、文芸雑誌『外国文学』編集部に勤めるかたわら、三島由紀夫、島田雅彦、多和田葉子ら現代日本文学のロシア語翻訳を手がける。

典雅な文体と手に汗握るストーリー展開で、それまで「低俗なジャンル」と考えられていた探偵小説に新風を吹き込んだ。
『堕ちた天使アザゼル』、『リヴァイアサン号殺人事件』、『アキレス将軍暗殺事件』」

というわけで、アマゾンで早速『リヴァイアサン号殺人事件』を注文した。訳者はもちろん沼野 恭子さん。読むのが楽しみである。さいごに小説を読んだのはいつだったかというくらい、最近は「小説」のジャンルからは縁遠くなっている。ハルキはすきじゃないし、他にも読みたい人がいない。「ミシマは遠くなりにけり」と思っていた。日本でのこのジャンルはダイナソールになりつつあると思っていた。

やっぱりロシア、小説ジャンルの伝統の厚みがすごい。この小説不振の時代にどういう切り口で切り込んでいるのか、楽しみである。推理小説だっていうし、それなら退屈することはないはずである。

それと、もう一冊注文してしまった。去年の11月25日のブログに三島の40回忌のことを書いたが、なんと記念した本が出ていたのに気づかなかった。そこにアクーニンも参加していた。

『MISHIMA!—三島由紀夫の知的ルーツと国際的インパクト』で昭和堂から出ている。編者はこれも三島研究で知られるドイツ人のイルメラ・日地谷=キルシュネライトさん、以下が目次に載っていた内容の一部である。

I  私と三島
  友人三島  ドナルド・キーン
  ロシアの作家ミシシンカ ボリス・アクーニン
  細江英公
  平野啓一郎
II パネルディスカッション−−三島由紀夫の芸術的遺産
  司会者 日地谷=キルシュネライト
  出席者 アクーニン、キーン、イヴィツア・ブリヤン、細江、平野

キーンさんの論考も載っているのでこれも楽しみである。一昨日、キーンさんについて書いたところで、不思議なつながりを感じてしまう。三島を介してなにか見えない糸でつながっているような。