池田信夫さんのTwitterで産経の1月20付の記事、「ソニー、新卒採用の30%を外国人に アジアから採用拡大」への言及があった。「グローバル労働市場との統合はまったなし」というコメント付きで。
日本人学生の新卒採用が減っているのは不景気が原因ばかりではない。ソニーのみならずグローバル市場を相手の企業はこれからも外国人をより多く採用してゆくのは間違いないだろう。特にそれが新卒となると、即戦力となる外国人が有利にきまっているから。
グーグルでそのたぐいの記事を検索したら、産経の12月19日付の記事にも似たものがあった。こちらは外国人留学生を積極採用する企業が増えているという内容だった。ある企業の採用担当者の弁として、「ディスカッションでの発言力に日本の学生は物足りなさが残る。外国人留学生は積極的な姿勢が目立ち、入社後も日本人に足りない部分を開拓できる可能性がある」というのを挙げていた。
また、「海外からの留学生が全学生数の約半分を占める立命館アジア太平洋大(大分県別府市)では21年度、日本で就職を希望する外国人留学生約270人の9割以上が三菱商事や東芝、東レといった有名企業に内定した」というのもあった。
外国人留学生、それもアジア系であれば、「日本語がよくできて、まじめで、勤勉さはかっての日本人並みで、礼儀正しくて」といった特徴があるといわれている。私も勤務先で留学生の授業を担当しているけれど、この通りである。その上、彼らはいまだに有効である経済大国日本に憧れてやってきている。だから日本企業に就職希望する学生も多い。この点が西欧系の留学生と違うところである。
立命館のようなケースはこれからもどんどん増えてゆくだろう。
日本人学生よりも留学生の方がまっとうな日本語が使えるなんて、笑い話のようなことが現実に起こっている。ゼミなどで日本人学生の文章を直すとつむじを曲げ、授業に出てこなくなった。一人や二人ではなく、ほとんどがそうなので驚いてしまう。いったいどういう教育を小・中・高で受けてきたのか。まずいと思ったら今からでも直せるはずだけど、そういう謙虚さがない。ゆとり教育で甘やかされてきた結果なのか、ここ2、3年とみにひどくなった。これで「大卒」を背負って出てゆかれても困る。
その上、英語ができない。コミュニケーションがとれない。これらは外国人留学生が当たり前にもっている資質なので、彼らと日本人学生を比べた場合、日本人の方が見劣りすることが多い。残念だけど。企業の採用担当者が外国人留学生を採用するのが、よく理解できる。
問題は大学の教員自体、そして組織自体がそこのところを真剣に考えて対処していない点である。レメディアル教育なるものを実施するといった対症療法的な手段だけでは、この解決にはならない。社会人として企業に入ったり、組織に入ってやって行ける人材を育てるにはどうすればいいのか、教育の根本から洗い直し、組み立て直し、練り直して青写真を書かなければならない。グローバル化が加速している今、これは待ったなしである。
あーぁ、出るのはため息ばかりだ。周りを見渡しても、そういう危機意識を持つ人は少ない。それが最も欠けている集団だと思う。大学教員は。