yoshiepen’s journal

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「大学入試の新共通テスト、英語にTOEFL活用も 
中教審答申案」日経10月24日付

以下がその記事の一部。

中央教育審議会中教審)は24日、大学入試改革の答申案を示した。大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は複数回実施。英語は「読む・聞く・書く・話す」という4技能を評価する方針を明らかにし、TOEFLなど外部の資格検定試験の活用も検討する。
 文部科学省は年内にもまとまる答申を受け、2021年度入試からの新共通テスト導入に向けて制度設計を進める。
 現行の大学入試の英語は「読む・聞く」の2技能に偏っており、日本人が英語を習得できない要因の一つとする指摘は多い。中教審は今回の答申案で学力評価テストの英語について「『書く』『話す』も含めた英語力をバランスよく評価する」という考えを初めて明示。評価方法として記述式問題や面接などを例示し、外部試験の活用も検討課題に含めた。
 文科省は近く、TOEFLや実用英語技能検定(英検)など各試験の主催団体や高校・大学関係者などによる協議会を設置し、各試験の出題傾向や評価基準などを検証する。検証結果を踏まえ、国が独自に学力評価テストの英語の問題を作成するか、外部試験に委ねるかを判断する。

よろこばしいニュース。採用するのがTOEICではなく、TOEFLというところが特に。でも中教審のこの提案、「協議会」の検証段階で頓挫するような気がする。TOEICや英検といった現在高校、大学で教材としてつかわれている試験とTOEFLでは問題の質があまりにも違いすぎるから。協議会なるものに現場の教師が加わるなら、彼らの強硬な抵抗にあうのは必至である。

TOEFLを「教える」にはかなりの力、それも日本の中高、そして大学のほとんどの教員がもっていない力が要請される。答申を出した中教審の委員はおそらくその事実を知らないのだろう。知っていたとしたら、かなり意図的。ある意味革命的。日本の英語教育が根底から変わる可能性が出てくるから。

私が大学を辞めた理由の一つが、TOEIC関連のコースを教えさせられることだった。企業の多くが採用しているとのことで、就職を有利にする条件として多くの大学がバカの一つ覚えのように、「TOEICコース」を教科に組み入れている。TOEFLでなくなぜTOEICか。理由はひとつ。TOEFLを教えられる教員がほとんど(皆無に近い)いないから。辞める前の4年間、大学の「語学教育委員会」なるもののディレクターをしていたので、TOEFLのコースに換えようと提案したのだが、ものすごい抵抗に会った。TOEFLのコースを設置しても、担当教員自身に力がないもので、自分の力にみあった形に変えていた。彼ら(彼女たち)自身がTOEFLを受験したことがないんだから、仕方なかったのかも。でも私にはそれが我慢ならなかった。会議のたびに「あんたもTOEFLを受けて、そのスコアを提出してよ」と心の中で喚いていた。日本の多くの大学でのそれが実態。文科省が本気でこの提案を採用するなら、欧米大学が受験生に要求しているTOEFLのスコアをクリアした教員のみを高校、大学の英語教員として認めるべきだろう。となると、米欧の(しかるべき)大学に留学し学位をとってきた人、もしくはネイティブ・スピーカーでも「専門家」を採用せざるを得ないだろう。でもそんなことをしたら、日本人の英語教員がいなくなってしまうかも。

TOEICは東アジアでのみ「通用」する資格である。米欧の大学に入るために受ける試験はTOEFLが主たるもの。大学院に入るにはTOEFLに加えて(米の場合は)GRE(人文、社会、サイエンス系の大学院用)やら GMAT(経営大学院用)等の試験を受けなくてはならない。私自身も1996年にTOEFLGREを受け、そのスコアを応募していた大学院すべてに送った。英語圏以外の者が大学生、大学院に入るにはそれが必須条件だったし、今もそれは変わっていないはず。その他にも提出しなくてはならない書類がいくつかあるけど、TOEFLスコアは絶対条件。大学によって要求するTOEFLスコアは違うけど、それでも(あまりレベルの高くない大学でも)かなりのスコアを条件にしている。

TOEFL自体は私が受けた1996年当時よりも、格段に難しくなっている。日本人英語教員が「得意」とする文法問題、日本のお受験につきものの慣用句問題がほとんどなくなり、内容把握に重点を置いた問題になっている。いわゆるドリルでカバーできるものではなく、読解力、そして文章作成力が試される。アメリカの大学に入れば、毎日山ほどのリーディング・アサインメントをこなし、一学期中に何本もペーパーをかかなくてはならないのだから、TOEFLの問題がその最低基準をチェックするものであるのは、当然といえば当然。

グローバル化」が否応なく進んでいる現在、「英語」がそれを生き抜く必須条件であるなら、日本の子供たちに力をつけるのが最大の課題。それもかなり差し迫った問題。でも現状をみるかぎりにおいて、前途は必ずしも明るくない。文科省が本気になるなら、日本人の英語教員にはTOEFLのスコアを提出させ、条件をクリアできていない者を辞めさせるか、もしくは1年のアメリカ大学(高校でもよい)への「留学」を課すこと。英語圏出身のしかるべき資格をもった外国人教員を増やすこと。それ以外に解決法はないけど、できるはずないですよね。