yoshiepen’s journal

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「MOOC革命で日本の大学は半数が消滅する!」『東洋経済online』2013年07月17日付記事 by 山田順

「高等教育のオンライン化がもたらす「衝撃の未来」(上)が副題である。つれあいが以前の同僚の方からのメールを転送してきたのがこの記事である。筆者の山田さんは娘さんをアメリカ、中国で学ばせた経験から、日本の教育に疑問を投げかけるシリーズをこの『東洋経済online』に連載している。

イントロ部分を引用する。

「MOOC」とは、「Massive Open Online Course」の略で、ネットを使った「大規模公開オンライン授業」のことである。「MOOCs」と複数扱いで表記することもある。

現在、アメリカではMOOCsが急速に広まっていて、 一流大学がこぞって人気教授の授業を無料オンライン化している。かつてネットが広まったとき、オンライン授業は一時的にブームになった。しかし、今回のMOOCsのような広がり方はしなかった。ところが、一昨年から始まったMOOCs革命は、今や爆発的に世界に広がっている。

つまり、iTunes University との同種のサービスで、違いは商業ベースに乗せていることである。iTunes University 登場の衝撃については3年前にこのブログ記事にもしている。現在、MOOCは主なものだけで20ほどあり、米名門大学の参加する以下の6つが人気が高いという。以下がその6つの内訳。記事から引用させてもらった。

◆Udacity (ユダシティ)
スタンフォード大学のセバスチャン・スラン教授が始めたコンピュータサイエンス専門の無料オンライン大学。各講座は厳選され、質が高い。

◆Coursea(コーセラ)
スタンフォード大学プリンストン大学、UCバークレーペンシルベニア大学など約70校が参加。受講生は400万人を突破。今年の2月からは東大も参加している。
◆Edx (エデックス)
ハーバード大学マサチューセッツ工科大学(MIT)が合同で設立。UCバークレーなども参加。「白熱教室」で有名なマイケル・サンデル教授の政治哲学の講義「JUSTICE」も視聴できる。エンジニアリングの科目も充実。
◆Udemy(ユーデミー)
講義をアップロードすることによって、誰でも講師になって自分の講座をネット上に持てるプラットフォーム。授業コンテンツの価格は無料から有料(5〜250ドル)まで作成者が決め、売り上げの70%が作成者の収入となる。
◆Futurelearn(フューチャーラーン)
イギリスの放送大学Open University)により設立。
バース大学、レスター大学、ノッティンガム大学などが参加。


◆Khan Academy(カーンアカデミー)
ビル・ゲイツ氏も支援する教育NPO。2006年創立。創立者サルマン・カーン氏が数学や科学などの指導用ビデオを作成してスタート。講義ばかりか試験も受けることができる。参加者のユーザーコミュニティもある。

「Udacity」では、いくつかの企業と提携していて、受講生の成績を企業に送る。すると、企業は戦力になると判断した受講生に声をかけ、採用となれば、「Udacity」に仲介料が入るというシステムになっているのだ。設立して1年で提携企業は350社、約20人がグーグル、ゴールドマンサックスなどの有力企業に採用されたという。

アメリカ大学関係者はこれに衝撃を受けているという。なぜなら、これが進めば、既存の大学の就職に影響を及ぼすから。でも、これはアメリカの大学によりも、日本の大学により大きな影響をもたらす可能性がある。教育の質そのものが、それもグローバルレベルでのそれが問われるようになるからである。「MOOCで重要視されるのは、大学の権威や名前ではなく、教授と授業の質そのものだ」と、筆者はいう。質の高い教育をオンライン「履修」することが出来るようになれば、日本の多くの大学の「ビジネスモデル」が危機に瀕する。日本の大学が知の生産の場であるのは、遠い昔の話で、実態は就職に必要な手形を学生に与える場にしか過ぎなくなっているから。私の経験では、アメリカの大学にはまだこの知の生産の場という意識は強烈に残っていた。MOOCがアメリカの大学が危機感をもつほどの脅威であるならば、日本の大学にとっては、それ以上の脅威になるだろう。

でも逆に学ぶ意欲の高い学生にとっては朗報になる可能性が高い。受講することで単位ももらえ、しかも就職先が世界に広がるとなると、日本の大学に通わなくても良くなるから。優秀な人材ほどそうであろう。そこに「MOOC革命の破壊力」があると、筆者はみているようである。世界規模で優秀な人材を発掘できるわけだから。

iTunes University、それにTEDが登場したとき、衝撃を受けたが、今回はをれを上回る衝撃である。空想の世界が現実になったのだ。ジョブスは「iTunes University構想」を立ち上げたとき、おそらくこうなることを予見していたに違いない。アメリカでもさることながら、日本の大学の「大卒」の価値が暴落するのは必至である。

確かに生身の教師から実際に(フィジカルに)うける授業が消滅することはないかもしれない。ただ教育の提供の形が多様化することは止められないだろう。学生サイドからすれば、選択肢が限りなく広がる訳で、ワクワクするはなしではないか。ペンシルバニア大の院生だったとき、取りたくてもとれなかった分野違いの科目が多くあった。手始めにそういうものを、「学生」として試してみようかと考えている。