お芝居は『桜散る頃』だった。時は佐幕派、勤王派と武士が分かれて闘った江戸末期。因幡国の大名の家老は勤王派の武士の待ち伏せにあい、殺された。遺された遺児の兄(座長)と妹(諒さん)は仇を討つため、京都までやってきていた。
しかし、兄は苦労がたたり盲目になり、妹が思いついたのは自分が島原遊郭に身売りをし、その金子50両で兄に眼の手術をさせるというものだった。
時は流れ、郭にいる妹には相思相愛の男(瑞穂さん)ができていて、末は一緒になろうと誓い合っている。そこへ眼がなおり、見えるようになった兄が訪ねてくる。喜ぶ妹。しかしほどなく兄は仇が妹の思い人であることに気づく。
そこへ、その仇の国元から、明日をも知れない母親に最期の面会をするように下男(秋月はじめさん)がやってくる。決闘をする構えをみせる兄にしばしの猶予を願い出て、男は会津藩士たちとの決闘に臨む。
決闘中に兄が助太刀にくる。兄が会津藩士をすべて倒した後、男の首をはねようとするが、妹、そして下男に止められる。
妹が愛する人のため、会津藩士の生き残りを討ち取る兄だった。今まで苦労をかけてきた妹、そしてそのつれあいが幸せになるよう、兄が願うところで幕。