yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

アメリカ中間選挙

予想通り民主党大敗、共和党が下院を制した。でも上院は辛うじて逆転にはならなかった。日本の衆院参院でおきているのとと同じねじれがおき、オバマ大統領が政権運営に苦戦を強いられることは間違いない。

2年前、あれほどの支持を集めて当選したときの高揚はどこへやら、若年層では18パーセントという高い失業率を背景に、大統領選でオバマを支持した草の根の運動家(ほとんどが手弁当の若いボランティア)が動かなかったせいだろう。

でもこの程度のリセッションは予想できたはずである。リーマンショックの療法ではバーナンキFRB議長は上手く対応したし、政府も迅速に手を打ったので、リーマンが潰れた程度ですんだのだ。シティやバンカメ、それにAIGが軒並み倒産してもおかしくないほどの深刻さだったことを思えば、現在の不況はいったんは通らなくてはならない一里塚のはずである。それに危なかったはずの金融機関はリーマンショック以前のあるいはそれ以上のネット利益を計上しているのだ。確かに不動産はいまだにひどい状態が続いているが、それも日本のバブルがはじけた後のひどさよりはるかにましである。不動産価格も日本ほど下落していない。

そんなこんなを考えると、オバマさんは「不当に」評価されているように思う。でも、アメリカ人はきわめて独立心が強いので、彼の唱える国民皆保険のような大きな政府の政策にはそっぽを向くし、大統領が就任以来一貫して採ってきた福祉重視の政策には懐疑的になっているのだろう。なんでもお上に頼ろうとする日本人と、そこがアメリカ人は決定的に違うのだ。

2年前の大統領選でオバマさんが勝った時、ちょっと信じられなかった。彼は予備選のときから大きな政府的政策を標榜していたし、それをアメリカ人が受け入れるはずはないと思っていたから。それともう一つ、いくらハーバードのロースクール出のインテリ弁護士であろうとも黒人が当選するとは考えられなかったから。これは、差別することがその人の品格に関わると認知されているアメリカ社会ではおよそ表には出てこないことだけど暗黙の内にある「了解」のようなもので、長く生活し、アメリカ人と深く関わらない限り分からないことではある。

もちろん広いアメリカ、当然地域差はあるだろう。私のいた地域は民主党の地盤であるボストンとかに比べると、多少民主党色が薄かったように思う。以前から共和党が強いバージニア州がご近所だし、その地域出身者もいたからだろう。また文化の町ボストンなどと比べるとビジネスの町なので、「レッセフェール」的政策を採る共和党が支持されるのだろう。8年いる間に大統領選は2回経験したけど、キャンパスでは共和党支持、民主党支持の学生が選挙活動を並んでやっていた。

白状すると、私はナインイレブン以来の 「Pro-Bush」だったので、民主党色の強い大学キャンパスでは多少肩身が狭かった。なんて、外国人の私がなんと思おうと、なんの影響力もなかったのだけど。そこがアメリカ人のおもしろいところで、外国人にも「どっちの支持?」なんで聞いてくることがあるのだ。そういうときは「私、ガイジンだからワカンナーイ」なんて調子でごまかすに限るのである。パーティで政治の話はご法度というように、そういう話題は友情にひびを入れないためにも避けるのが無難なのだ。

丁度大統領選のあった2年前の8月に一ヶ月間キャンパス近くのB&Bに滞在したのだが、そこでは夜な夜な共和党支持のホスト夫婦が信条を同じくする友人たち(ほとんどがお金持ち)を招いて集会をしていた。ちょっと覗いたときに、副大統領候補のサラ・ペイリンのことを褒めちぎっていたのには、ちょっと違和感を覚えた記憶がある。彼女は共和党敗北のあとTEA PARTY運動の指導者の一人となって、今回も「活躍」したようである。

ニュース速報を見ようとCNBCのサイトに入ったら、穿ったコメントが載っていた。「共和党としては、下院を制しても上院は民主党が多数派のままにしておきたいのではないか」というのである。共和党多数派の下院で可決した法案が民主党多数の上院で否決されることになり、そうなると、「失政」はすべて上院のせい、あるいはねじれ現象のせいにできるわけで、2年後の選挙を共和党優位で闘えるからというのだ。おそらくは2年後の大統領選までに失業率が下げ止まることはないだろう。だから上下院ともに共和党になると、責任を民主党だけにおしつけることができなくなる。

やっぱりアメリカ、極端に左になれば必ず右に動くダイナミズムが働く。じりじりと釜の中でゆでられる蛙状態の日本とは違って、「自分の力で変えてみせる」という気概と力をもった人たちの国なのだと思う。