yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『晴れ姿千両役者』都若丸劇団@明生座11月10日夜の部

以前に観たときとは配役に少し入れ替えが。菊之丞を苛める紀伊国屋は城太郎さんでなく今回はあきらさんだった。「へぇー」と思ったのが、以前には気づかなかった二人のやり取りのキモの部分、紀伊国屋の台詞。「『鏡山』の中で私がなんで岩藤であんたが尾上なんだ」というところ。これ、以前にはなかったような。ただ、岩藤は立ち役の役であることが多い。でもリアルですよね。こういう台詞を入れると、一挙に歌舞伎世界に連れて行かれた気分になって、リアリティ度が増す。その上、紀伊国屋のイジメはまさに岩藤の尾上へのイジメのコピーだし、草履で菊之丞を打つのもそのまま。

今回もぶっ飛ばし度、マックス。中でも「おこも連合会長」職の若丸さんが五本の指にはめたちくわを外したあとの指の匂いを自分で嗅いで(!)、「クサーッ」言いつつその指を前の席の客の前に持ってきたのが最高。お腹を抱えて笑った。ムリに嗅がされたお客さん、大喜びでしたけど。

以下舞踊ショーは思いだせるもののみ。

若丸  立ち 「釜ヶ崎人情」
寸分の隙なく決まっていた。若丸さんの身体表現を通すと、釜ヶ崎が「濾過」されて、ホント品格のあるところに思えるから不思議。

若丸  女形 「越冬つばめ」
赤と黒の小さな花模様の粋な着物で。帯は光沢のある白。後ろのお太鼓がちょっと変わっていた。こちらも品が良かった。

若丸  立ち「現代東京綺譚」
真っ白な着物にフード付きマントで。背には狼が。センセーショナルな登場。

剛   立ち 「さむらい」 
梵字が模様になったしぶめの桃色地の着物で。刀を縦横に駆使しての切れのよい舞踊。

ゆかり   「あかん」
これ、いつも泣いてしまうんですよね。ダメ男に惹かれてしまう女の心情があまりにもリアル!

ラスト舞踊「本日未熟者」
今日初めて気づいたことがあった。若丸劇団の群舞の特長。「息」なんですよね。息が「詰まって」いる。息が合っているだけではなく、「詰まって合って」いる。最前列だったからそれがワァーと迫ってきた。