yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

NHKeテレ再放送 創作舞踊「にっぽん まつりの四季」

昨晩深夜の放送。見た人は少なかった?もったいない。素晴らしい舞踊だったから。思わずコール・ド・バレエ(群舞)を連想してしまった。整然としているのに、躍動的。みごとに揃っているのに、それぞれの踊り手の個性も立っている。全員が一流だとわかる踊り手だった。女性が多かったけれど、男性も女性の三分の一程度混じっていて、この人たちが流れの中でアクセントになっていた。四季を描いていて、私は「春」の途中から見始めた。見た瞬間、目が離せず、画面に釘付けになった。最後まで見てしまった。それから、「あれ、いったい何?」と、急遽ネットに当たった。以下が収集した情報。

「日本舞踊協会の第60回記念公演」の収録作品。総勢70人の迫力の群舞。
作・織田紘二 演出・尾上菊之丞 作曲・本條秀太郎

以下、NHKのサイトよりの番組紹介

日本舞踊家70人の共演によるエネルギッシュな舞踊!今年2月の第六十回日本舞踊協会公演から60回を記念して作られた創作舞踊「にっぽん−まつりの四季−」を送る。稲作とともに歩んできた民族の姿を年中行事と四季の風情を通して日本舞踊で表現した1曲。演出の尾上菊之丞のほか、作者の織田紘二や作曲の本條秀太郎のインタビューも交え鑑賞する。

以下は「都民芸術ゲスティバル」のサイトからの出演者情報。

【出演】橘芳慧,旭七彦,吾妻寛穂,吾妻豊太郎,泉彩菜,泉徳右衛門,泉徳保,泉秀樹,五條詠絹,五條珠太郎,中村梅,西川一右,西川扇左衛門,西川扇重郎,西川扇千代,西川扇衛仁,花ノ本海,花柳和,花柳克昴,花柳喜衛文華,花柳吉史加,花柳貴柏,花柳錦翆美,花柳寿紗保美,花柳輔蔵,花柳寿々彦,花柳寿美琴音,花柳静久郎,花柳園喜輔,花柳近彦,花柳ツル,花柳寿華,花柳昌克,花柳昌鳳生,花柳路太,花柳楽人,林千永,坂東里子,坂東映司,坂東映舞,坂東朋奈,坂東はつ花,坂東三津映,藤蔭静千華,藤蔭里燕,藤間京之助,藤間小太郎,藤間駒季,藤間爽子,藤間翔央,藤間仁凰,藤間聖衣曄,藤間鶴憙,藤間豊彦,藤間直三,藤間秀曄,藤間裕太郎,藤間眞白,藤間蘭翔,水木紗那,水木優翆,若見匠祐助,若柳薫子,若柳吉應,若柳吉優,若柳公子,若柳里次朗,若柳三十郎,若柳美香康,若柳庸子,本條秀太郎,本條秀慈郎,本條秀英二,堅田喜三久,藤舎呂秀,望月左武郎,住田長十郎,堅田新十郎,藤舎呂凰,堅田喜三郎,住田福十郎,中川善雄,福原百七,山本則俊,山本東次郎

壮観。しかも日本舞踊の流派の違った踊り手たち。身体の線が美しい。日舞の型も入っているのだろうけど、それ以上に日舞にはなかった動きもあったのでは。そもそもこれほどの集団で一緒に踊るということはなかっただろうし。群舞といっても「都おどり」などとはまったく違っていた。曲線を組み合わせた流れが舞台の上を大きく弧を描きながら動いて行く。地を舐めるような流れだったかと思えば、次の瞬間には空中を龍のように大胆に飛翔する。魚のように水中を泳いでいるかのような動きが、突如として鯉の滝登りのように上へ上へと舞い昇る。田を耕すかのような動きが、豊作を喜ぶ跳び跳ねた動きに変容する。

これらの動き、流れは四季それぞれの風物の、そしてそれらと向き合う人々の喜びを表現しているようだった。生命の力がみなぎっていて、見ている側にも「命への賛美」の思いが強く訴えかけてきた。日舞でここまでのことができるとは!これはバレエに匹敵する素晴らしさ。海外公演しても、きっと絶賛されると思う。

踊り手がバレエのそれのように超スリムでないところが、人間臭くてイイ。あの世につながる超世俗を舞い上げるのではなく、あくまでもこの世に生息する人間の生の喜びを踊りで示していたのだろう。能と比べてもその「思想性」は差別化できる。もっとも能を思わせる動きも多々あり、日舞が能の舞とは切っても切れない関係にあることを確認もしたのだけど。

鮮烈な衝撃だった!全体を作り上げた織田紘二氏、それに演出をした尾上菊之丞氏お二人の着想と実行力にただ脱帽。ぜひ海外公演を!