yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『相撲甚句』劇団美山2月15日昼@池田呉服座

お芝居は『相撲甚句』で、先日口上の際、座長自ら紹介されたように『一本刀土俵入り』の変形バージョンでした。こういうチャレンジはとても面白い。すでに大衆演劇界では定着したバージョンになっているのでしょうか。それとも里美劇団独自のアレンジだったのでしょうか。興味があります。内容は『一本刀土俵入り』を土台に、大衆演劇では定番の「やくざ一家内の抗争」を組み込んだ形になっていました。筋は以下です。

料亭に土地の一家が集まっている。その場で親分(喜代子)は隠居をすると一家の者たちに宣言する。それにつき今は芸者に出ている娘お蔦(ミカ)に二代目を指名させるという。というのもその二代目とお蔦を一緒にさせる積もりなのだ。銀次(京馬)と相思相愛のお蔦は銀次を選ぶ。お蔦に惚れ込んでいる代貸しの駒造(祐樹)、そして駒造につるんでいる長吉(こうた)は面白くないが、親分の前では異を唱えない。しかし、親分が一人になったスキを狙って、長吉が背後から親分を刺し、駒造が止めを刺して親分を絶命させる。

ところかわって大川端。相撲取り二人(座長、エクボ)が歩いてくる。二人とも三日間何も食べていないのでよろけている。

座長のメイクがおもしろかったのはもちろんですが、エクボさんの相撲取り姿(四股名がナント「肉之山」なんですよ)がそれに勝っていました。「ナンチューカッコウやねん」とつっこみを入れたくなるような奇抜さでした!ここでの二人のどうでもいいようなアドリブ満載のかけあいが笑えました。それにしてもエクボさん、あのカワイイ方がここまでやるとは!脱帽です。

絶望(?)した二人は身を投げて死のうとするが、それを丁度通り合わせた芸者姿のお蔦に止められる。二人に同情したお蔦は彼らにまとまった金子を渡す。感動した茂兵衛は相撲甚句を歌いながら土俵入りを見せる。そして彼女の名を聞いて、その恩は忘れないと誓う。

同じく大川端、駒造と長吉は一人で歩いていた銀次を捕まえて、これまただまし討ちにかけて殺してしまう。それを目撃した茂兵衛は、弟分の肉之山と共に急いでそこを立ち去る。

十年後。父親と許嫁をなくしたお蔦は芸者を辞めて、いまではささやかな商売を商っている。が、今日も今日とて今では一帯をしきるようになった駒造が、借金の請求にやって来ている。料亭の女将(花)がそこに居合わせるが、駒造と長吉にお蔦にその父の死の真相を告げないように脅しをかける。お蔦の借金は元は10両ばかりだったのが利息がついて50両にまでふくらんでいて、それが暮れ六ツまでに返済できないと、お蔦は駒造の女にならなくてはならない。

そこへやってきたのが股旅すがたの旅人(もちろんかっての茂兵衛)。深く笠をかぶっている。お蔦に「この辺りでお蔦さんを知りませんか」と聞く。お蔦がそれは自分だと応えると、「自分は昔お蔦さんに恩を受けた者ですが、覚えておられませんでしょうか」と聞く。お蔦には心あたりがない。

暮れ六ツになったといって、駒造とその一味がやってくる。お蔦に迫っているの駒造に、旅人姿の茂兵衛が割って入る。そして50両を立て替えるという。この時点で茂兵衛は駒造の顔を思いだす。そしてお蔦に駒造と長吉こそ、銀次を殺した張本人だと証す。お蔦は「夫の仇」と小刀を振りかざすが、茂兵衛に制止される。大立ち回り。茂兵衛が相撲甚句を歌いながら一味を倒す。その歌を聞いたお蔦は大川端の事件と茂兵衛の顔を思いだした。

茂兵衛は50両をお蔦に渡し、「自分が受けたご恩の何分の一しか恩返しができなかった」と行って、去って行く。

座長がかっこよかったのはもちろんですが、こうたさんの悪役、堂に入っていました。先日も感心したのですが、今日は決定打でした。