yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『伊達の新造』たつみ演劇BOX@新開地劇場9月28日昼の部

このお芝居は以前に2回観ている。楽しいお芝居。さすがたつみ演劇BOX、こういう喜劇でもどこかはんなりしている。

おおまかな筋は以下。

奥州仙台から江戸に出てきた百姓の新造(たつみ)。路銀を使い果たして空腹に耐えかねている。目の前には「関東煮」の看板をだしたおでんの屋台が。町衆がその前で寛いでいる。屋台の主人は上方出身らしく、どケチ(小龍)。ここでの小龍さんのケチ口説がおかしい。こんなオッサン役も巧い。なんとかおでんを食べたいと掛け合う新造を、追い払う。仕方なく空腹をかこつ新造。ここで、なんとかおでんに近づこうとする新造とおでん屋主人との「攻防」が笑わせます。たつみさん、「おらー、・・・ねえだ」と「東北弁」を連発、このインチキ弁もおかしい。

この三人の対比は、いなせな江戸前 vs. ケチな上方 vs. おっとり刀の東北になってんでしょうか?よく出来ています。

来合わせたのが同じやくざ一家にいながら犬猿の仲の放駒の長吉(瞳太郎)と御家人崩れの丹三郎(ダイヤ)。初めは口喧嘩だったのが、とうとう本格的な喧嘩に発展する。辺りはてんわわんやの大騒ぎ。そのすきに口いっぱいおでんを頬張る新造。ここ、笑えます。長吉と丹三郎が剣を交えている。危ないので止めようと、おでんの看板(なんと!裏に「女天学堂」の文字が)を持って二人の間に割って入る新造。結局、喧嘩していた二人の仲裁をする格好になる。

丹三郎はその新造の行為にいたく感心、名だたる大親分に違いないという。おでんを口いっぱいに頬張った新造、人違いだと身振りで必死に否定しているのだけど、なんせ声が出ない。

思い込んだらとことんの丹三郎。疑心暗鬼の長吉を説得、新造を一家に連れて帰る。ここでのダイヤさんの演技もオカシイ。新造の言動すべてを誤解、「奥ゆかしい!」の連発。役のばかばかしさに、思わずわらってしまうダイヤさんでした。

二人の一家の親分は対立する別の一家の者に殺されたばかりだったので、この新造を新しい親分にと考える丹三郎。新しい髷に新しい着物を着せられた新造が奥から出て来る。これ、大爆笑でした。派手な着物はまだ良いとして、大ケッサクの髷!たしか最初に観たときは伊達政宗髷だったけど、二回目と今回は同じもの。あれ、なんていう髷なんでしょうか。殿さま髷?

二人が留守にした間に「こんなやくざ一家にいたら、命がいくらあっても足らない」と逃げ出す新造。頭はあのへんてこな髷のまま、身体に荷物を括り付けてすたこらさっさ。ところがやって来た河原で対立する一家の者たちと出くわしてしまう。なんたる天の配剤、否計算違い?新造は相手方の持っていた刀で、相手を一斉に斬り殺す。その新造、手に持った刀に付いた血をみて卒倒してしまう。

そこにやってきたのは丹三郎と長吉。新造に親分の敵を討ってくれたと感謝する。その二人に、誤解はもう止めてくれと懇願する新造。自分は仙台から出て来た百姓の新造で、親分でもなんでもないと言う。そして彼が故郷を出ざるを得なかった事情を話す。それは土地の親分に無理に借金をさせられ、その借金のかたとして妻を盗られたというもの。妻は自殺したという。これを聞いた丹三郎と長吉は、新造に仇討ちをさせてやると請け合う。二人で彼をいっぱしの親分に仕立て上げ、それを二人が助けると約束する。

一年後、りっぱな「親分」になって故郷に帰ってきた新造。でももとの場所に家はなくなっている。それもそのはず、別の場所で茶店を営んでいた。その茶店にも悪い親分一家が「借金をかえせ」と押しかけて来ている。この茶店に最初にやって来ていたのが丹三郎と長吉の二人。茶店の主の婆さん(小龍)に「しわくちゃ婆」と悪態をつく。親と妹の所在が分からずあきらめかけていた新造、茶店に偶々やって来て、母(小龍)と妹(満月)に再会することができた。婆さんが新造の母と知って慌てる丹三郎と長吉。この慌てぶりもオカシイ。話を聞いた新造と丹三郎、長吉の三人は仇討ちの好機到来と知る。

まず最初の丹三郎と長吉が「客」になって親分宅に入り込む。そこに新造がやって来て、親分に仇討ちに来たと告げる。一家の者が騒ぎ立てる中、奥から新造の助っ人として二人が出て来る。悪い親分と一家の者をすべて成敗し、無事妻の仇討ちを成就させた新造。子分たち、母、妹と喜び合う。

たつみさんが口上でおっしゃった「思い出話」が印象的だった。彼が新造を演じたのは15歳。お父さまののぼるさんに「演じさせてくれ」と頼み込んでの結果だったという。その頃は現在と違って若手登龍門としての「中狂言」があったので、そこでの主役。なんともっと以前は芝居は三部もあったというから、おどろき。若手が「練習する」場があったというのは、優れた形態。でも舞踊ショーに重きを置く今の観客は歓迎しないかもですけどね。

舞踊ショー
第一部 ひかえたもののみ。間違いあればご容赦。

群舞  ダイヤ・たつみ・座員一同  「やじきた?』

瞳太郎   「人生演歌だよ」
まさに「入魂」の踊りだった。

小龍   「べらんめえ女傘」

ライト  「ときめきのルンバ」

たつみ   「 細雪」


ラスト   「お富さん」

第三部
群舞   ?

ダイヤ   「夏恋囃子」

たつみ   「夜叉の川」

宝  ?

たつみ・ダイヤ  「かささぎ橋」

小龍    「麗人抄」

ライト   「箱根八里の半次郎」

瞳太郎  「おとこの純情」、「港のヨーコ・ヨコハマ」
あの瞳太郎さんがハジケタ!

たつみ  「満天の瞳」

ダイヤ  「最期の川」

群舞  たつみ・ダイヤ・小龍中心に 「人生劇場」

ダイヤ 歌  「追いかけて雪国」


京香  「錦糸町の女」

ラスト  「ウルトラソウル」

来月は京橋羅い舞座です。