yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『おしどり道中』たつみ演劇BOX@梅田呉服座1月4日昼の部

昨日の『一心太助』を観のがしたのが残念。この日のお芝居は座長二人が昼・夜役替えで演じるとのこと。私が観た昼の部はたつみさんが観音一家二代目、千太を、ダイヤさんが三味線弾きの旅人役(長五郎?)だった。
ストーリーは以下。

茶店の前で鬼神一家の若い衆と観音一家の若い衆が喧嘩になる。鬼神の親分(宝)も出て来る。観音一家の若い衆(瞳太郎)は怒りに任せて、つい日頃の疑いを口にする。それは観音一家の前の親分を闇討ちで殺したその下手人が犬神一家だというのだ。聞き捨てならないと怒る鬼神一家。そこへ登場したのが観音一家の二代目、千太(たつみ)。若い衆をなだめ、相手方に謝罪する。調子に乗って、手をついて謝れと言い募る鬼神親分。手をついた千太をみて、「まるでお宮の狛犬」と罵る鬼神。腹に据えかねた千太、ドスを抜く。鬼神も迎えうつ。二人がドスを交えたところに、武家(愛)登場。その場を収める。愛さんの化粧顔。どうみても「りっぱな武士」ではなく、チンピラオヤジ風。この場面、いつもの伝でたつみさんが愛さんの滑舌の悪さを「日本語がバラバラ」とかなんとか云ってイジリ倒す。姓名を聞かれた愛さん、「佐々木蔵之介」!

三味線弾きの旅人と鳥追い女、お蝶(小龍)が茶店の前で言い争いをしている。どちらもが相手が自分をつけて来ているのだと主張。意地の張り合い、それも「お定まり」ような微笑ましさがある。

一家に戻った千太。そこへ先ほどの侍から料亭清月で待つとの「招待状」が届けられる。ただし、一人で来いとのこと。千太は丸腰、独りで出かける。

料亭清月では鬼神の親分と侍が悪だくみの打ち合わせをしている。千太にしびれ薬を入れた酒を呑ませようというのだ。そこにやって来た千太。鬼神との「仲直り」の印に一献差し上げたいという侍のことばに、盃を口に運ぼうとする。このときの二人のかけあいが笑わせます。いい女がいたら紹介してくれという侍、つまり愛さんに、「いい女がいたら俺が行く」と応じる千太/たつみ。それも例のすっとぼけたお顔で。ついでに愛さんに、「(あなたの云うことは)どこまでが本気かわからん」。そこへ隣りの部屋から文が届く。そこには酒に毒が入っているというお蝶からの知らせだった。お蝶はたまたま隣りの部屋にいて、悪だくみを聞いていたのだ。呑んだ振りをしてすばやく懐の手ぬぐいに酒を吸わせる千太。しびれた振りをする。鬼神一家と侍がうちかかってくる。灯りを消して必死で迎え撃つが劣勢になる。そこを赤襦袢姿で飛び込んできた三味線弾きの長五郎が加勢に入る。二人は一家と侍を叩きのめす。暗闇での闘いは喜劇の十八番、さらにこの赤襦袢がコメディタッチを盛り上げて実に効果的だった。

所替わって観音親分宅。実は一家の長女だったお蝶が帰ってくる。お蝶の妹、おりん(満月)は千太と一緒になったので、千太が二代目を継いだことが分かる。そこへ三味線弾きの長五郎も訪ねて来る。千太が助けてくれたお礼に招待していたのだ。二人はまたもや意地の張り合いで口喧嘩。お蝶が風呂へ入ると云ったので、長五郎が「一緒に入る」とあとを追う。そのあと千太/たつみさんも一緒にに入る(!)といって奥にひっこむ。

鬼神からの果たし状が届く。心配するお蝶に「山より大きな獅子は出ない」と言い残し、すぐに出かける千太。そこへ長五郎も出てくる。まだ「困ったときのバカ頼み」と憎まれ口をきくお蝶とともに果たし合いの場に駆けつける。

果たし状には「さしの勝負」とあったのに、鬼神は子分を引き連れている。千太はまたもや劣勢になるが、駆けつけた長五郎の助っ人によって、鬼神一味すべてを斬り殺す。

凶状の旅に出るという長五郎と一緒に旅に出ることにするお蝶の憎まれ口で幕。

これほどの長い芝居を1時間にまとめ、それでストーリー展開に齟齬がないようにするのは、大変だったと推察できる。それを実にスマートにやってのけたたつみ座長に拍手!