yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『鼠小僧と白鷺銀次』 in たつみ演劇BOX@朝日劇場2013年6月29日千秋楽

27日の『友情断片録』、28日の『太助を夢見る男』、そしてこの千秋楽の『鼠小僧と白鷺銀二』と、観てきて、やっぱり千秋楽が最も気が充実していた。もちろん、どの演目にも小泉劇団(たつみ演劇BOX)ならではの格調の高さがあったし、上方劇団のはんなりした持ち味がうまく生かされていたけど、千秋楽の充実度は群を抜いていた。

劇場に12時開演と同時位に入って、度肝を抜かれてしまった。人、人、人!劇場入り口扉は開けっ放し、そこにも何重にも人が。私もその劇場外(ロビー)の最後尾でみる羽目になった。でも嬉しかった。今まで朝日劇場で観た中で、一番の観客動員だったから。 “They deserve it!” 三年前だったか、新開地で小泉劇団をほぼ毎日観たことがあったが、並外れて優れた芝居をする劇団にしては、動員数が今ひとつだったから。いつも、「なんでやねん!」と思っていたから。

この劇団は人情芝居も良いが、特に喜劇が秀逸である。たつみさんに喜劇をさせたら、終始抱腹絶倒、あっという間に時間が経っている。

この日の演目『鼠小僧と白鷺銀二』、もちろん以前に観たことがある。明生座だったのか、新開地だったのかが思いだせないけど。配役も、だるまの親分(十手持ち)を愛飢男さん、その子分の弥吉をたつみさん、だるまの親分が横恋慕する芸者を小龍さん、鼠小僧を瞳太郎さん、その仲間をダイヤさん、緑屋文治親分を宝さんという配役だったように記憶している。

見せ場は弥吉とだるま親分とが布団の取り合いをするところ。落語のネタにでもなるような喜劇特有のものである。それぞれが布団の両端を持ってのギッコン、バッタンのシーソーは、本当に可笑しい。その前後のこの二人の掛け合いも、いつもの十八番とはいえ、やっぱり笑ってしまう。たつみさんの巧さが光るけれど、それも愛飢男さんがいてからこそである。たつみさんの「ああ言えばこう言う」おしゃべりにさんざん手こずった飢男さん、最後は「もうどうでも良いや」、といった風だった。

第三部の舞踊ショーは座長ふたり(たつみさん、ダイヤさん)の相舞踊、「矢切の渡し」をみてから退出した。これがまたずっと記憶に残るのは間違いない美しさだった。真っ白な着物という道行きの装い。二人とも歌舞伎界にもこれほどの美形はいないだろういうほどの美男子なので、一幅の見事な絵になっていた。それが踊りだすとこれまた完璧な上手さなので、観客席がどよめいていた。

たつみさんの舞踊はこの三日間、圧倒されっぱなしだった。ただ曲目を控えていない。覚えているのは28日の「白雲の城」。すばらしかった。女形、立ちともに上背のある姿形を生かした躍動感のある動きと、きっちりとした古典的な所作が際立っていた。