テレ朝のサイトにアップされていた解説]をリンクしておきます。文章で出すと以下です。
高校の教室で不穏な事件が起こった。担任の沢本愛(矢田亜希子)が授業をしている最中に、生徒の春日俊介(平岡拓真)が倒れ、意識不明の重体になったのだ。その後、俊介は青酸ソーダを服用したことが判明する。だが、入手経路はおろか、ほかの生徒の目がある中でどうやって服用したのかは不明…。しかも、俊介は真面目な生徒で、自殺だと仮定しても理由が見当たらなかった。
** ふたりの愛
タイトルの「ふたりの愛」というのがミソ。いくつもの意味が孕ませられているんです。
写真付きのシークエンスでシークエンスをたどり、ドラマ再現をしておられます。特に最後の穿ちは「そうか!」って腑に落ちてしまう。キーファクターを抑えておられるのはさすが「梶真クラスタ」を自称されるだけのことはありますね。
ふたりの「愛」とは?
(1) 相聞歌の愛 良寛和尚と貞心尼の恋愛
(2) 女性教師と男子生徒の愛
(3) 女性教師の名と男子生徒の親の名が「愛」
(4) 真壁と梶山の秘められた「愛」
まず(1)の「相聞歌」。国語教師の沢本愛(矢田亜希子)が黒板に良寛和尚がの貞心尼への愛を詠んだ歌を書き出すのだけれど、それが「君や忘る 道や隠るる この頃は 待てど暮らせど 音信(おとずれ)のなき」というもの。(2)はこの事件の裏には教師と生徒間の恋愛があることを、ふたりの交換日記から真壁が推察する。(3)は男子生徒の親が教師を毛嫌いする理由の一つが自分の名と教師の名が同じ「愛」だったこと。
** 秘められた愛?
ここまではこの事件がらみの「愛」ではあったのだけれど、実はここにもう一つ隠された「愛」が。敵対関係のあるかに見える真壁と梶山の間の微妙な緊張感。実はそれがふたりが互いに抱く愛に起因していることが、最後のシーンでもほのめかされているんですよね。かじおままさんはそこをまるで心眼でみるように、表現されているんです。
こんな四つどもえのキーを絡ませてストーリーを組み上げた脚本家の井上由美子氏の力量は本当にすごい。日本の刑事ドラマの脚本ではピカイチでしょう。
** キャラ立ちの役者陣
主役の天海祐希さんの男前ぶりも、田中哲司さんのノンシャランぶりもある意味異端ですよね。異端といえば、キントリの他メンバーもコワモテ俳優陣。でんでんさん、大杉漣さん、小日向文世さん、加えて捜査第一課の鈴木浩介さん。速水もこみちさんのみがキレイ系。大杉漣さんが亡くなられたことは、次シーリズの痛手だろう。そして今回のもう一人の主役、矢田亜希子さんが力演でした。彼女は『愛していると言ってくれ』で女子高校生役で出ていたのを見て以来。女子高校生が教師役なんですから、時の容赦ない流れを感じます。