この「茂山狂言会」はなんと2日間にわたってのもの。今日は2部になっていて、私が参加したのは第一部。
開始前に茂山逸平さんから「解説」があった。子供もきているということで、狂言について非常に具体的かつ分かりやすい解説。ほとんどの観客が狂言が初めて。そういう人にも親切な解説。ユーモアセンス抜群。さすが逸平氏。
「蝸牛」(かぎゅう)とはもちろんかたつむりのこと。言葉を伝達するのに、間違い、誤解が起きることのおかしさを突いている。似たものに「末広」があるだろう。以下、茂山家のサイトからの演目紹介。
出羽の羽黒山から出た山伏が、大和の葛城山で修行を終えての帰り道、竹やぶの中でひと寝入りしていると、主人の言いつけで、長寿の薬になるという蝸牛(カタツムリ)を探しにきた太郎冠者と出くわします。
「竹薮には必ずいるものだ」と教えられて来た太郎冠者は、黒い兜巾(ときん)をいただいた山伏を見つけ、すっかり山伏がカタツムリだと信じ、主人のところへ連れて帰ろうとします。
山伏と浮かれているところに、帰りが遅い太郎冠者を心配した主人が、太郎冠者を見つけて「あれは、カタツムリではなく、山伏で売僧(まいす)だ!」と注意するのですが・・・。
太郎冠者の失敗談でありながら、目出度く楽しい狂言に仕上がっています。
演者は以下。
山伏 茂山宗彦
主人 島田洋海
太郎冠者 茂山童司
楽しかった。特に宗彦さんと童司さんお掛け合い。息がピッタリとあっている。
次は「棒縛」。演者は以下。
主人 茂山千五郎
太郎冠者 茂山逸平
次郎冠者 茂山茂
以下が茂山家のサイトからの作品紹介。
主人が留守になると、太郎冠者と次郎冠者が酒蔵の酒を盗み飲みするので、次郎冠者を棒に、太郎冠者を後ろ手に戒めて、主人は出掛けます。不自由な格好で留守をするはめになった二人は、「こんな格好をさせられれば、いよいよ飲んでやろう」と色々と工夫を重ね、ついに酒にありつきます。二人が騒がしく酒宴をしているところに、用事を終えた主人が戻ってきて・・・。
最も有名な狂言の一つにも数えられており、不自由な格好で酒を飲む所は、言葉無しでも分かるくらいで、海外公演では必ずと言っていいほど上演されます。
狂言でも観ているけど、歌舞伎では巳之助と勘九郎のものが秀逸だった。本家の狂言。今日のものは肩の力が抜けた、それでいて締めるところはしっかりと締められた舞台。茂さんと逸平さんの絡みが秀逸。この前の「蝸牛」にもいえるけれど、さすが気心の知れた従兄弟同士。絶妙の間。楽しかった。歌舞伎版よりもぶっ飛んでいたかも。