おそらくほとんどの日本人にとって、超豪華クルーズ客船で世界一周するなんて、夢のまた夢だろう。クイーンエリザベス号が横浜港に入港するたびにニュースになるっていうことからして、日本人とクルーズとがいかにかけ離れたことかが窺える。クルーズ船で旅行するということ自体が、普通の日本人の感覚からゆくと、とてつもない贅沢なことというのは、今も昔も変わらないように思う。
今日の「クルーズ船見学」という体験は、その贅沢の片鱗を味わったことになるのかもしれない。世界で最も豪華なクルーズツアーと言われている「シーボーンクルーズ」に去年参加した友人が、この見学ツアーに誘ってくれなければ、一生ご縁のない世界だったような気がする。彼女は世界一周ではなく、ギリシャからイスタンブールまでクルーズを利用したという。そういうようにセグメントごとに乗船もできるよう。
今日見学したシーボーン・サジャーン(Seabourn Sojourn)号、何から何まで別世界だった。ホテル仕様の客室はすべてスイート、それぞれにバス、クロゼット等が付いていて、最低でも26㎡。ほぼ全室が海の見える部屋という造り。部屋に一日中いるわけではないので、これで十分すぎる広さ。
もっともすごいと思ったのはそのサービスの充実ぶり。まさに痒いところに手が届く至れりつくせりのサービス。24時間サービスだという。レストラン、バーはいくつもあり、すべて料金に組み込まれている。読書室、宴会場(これ、まるで1930年代のベルリンのキャバレー)、カードルーム、ジム等のありとあらゆる客をエンターテインする設備が完備。プールもあった。考えうる快適なサービスがほとんど組み込まれていると言っても過言ではない。
今日は神戸に寄港。明日には出港するのだとか。見学した時間帯はほとんどの乗船客が神戸に上陸し、中が比較的空いていたので、こういうツアーも可能になったらしい。内部が見れたのは本当にラッキーだった。
こういうクルーズでの旅行者が年配だというの想像が付いていた。ほとんどの場合はそうなんだろうけど、中には中年と思しき方たちも。アメリカ人が多かったような。アメリカのシアトルにヘッドクオーターのあるカーニバル社がオーナーなので、当然かも。ガイドをしてくれた南アフリカ出身の綺麗なお姉さんは、客のバリエーションは多岐にわたるとおっしゃっていたけど。費用も多額だろうから、おのずと客の選別はできているんだろう。私には一生ご縁がないのかも。
このシーボーンが所有しているクルーズ船の三隻に、近いうちに新たに二隻加わるという。より豪華な船らしい。英語のWikiサイトには会社の来歴が書いてあるので、興味のある方はどうぞ。いろいろな人たちの手を渡って、現在の形に落ち着いたよう。この点はアメリカの企業らしい。もともとの創設はノールウェイ人実業家だった。そう聞くと、バイキングの末裔が作った船なのだと、ちょっと嬉しくなった。Oceansを股にかけるっていうの、夢がありますよね。単にビジネスとしての事業っていうだけではないような気がするから。
「シーボーン」は新しくコンサルタントを雇って、よりアグレッシブな戦略を採るのだとか。世界最高峰のサービスを売り物に、他のよりランクの落ちるクルーズとの一層の差別化を図るということなのかもしれない。以下の記事が該当の箇所。
Carnival Cruise's Seabourn Hires Figliulo & Partners Amid Growth Plan
Luxury Cruise Line Will Add Two Newly Designed Ships By 2018Carnival is making "a big investment" in Seabourn, said Mr. Delaney, with two newly designed ships expected to launch at the end of 2016 and in mid-2018. With the brand in a period of growth, he said now was the right time to bring on a new creative agency to engage loyal and prospective consumers.
Mark Figliulo, founder and CEO of Figliulo & Partners, said the firm will collaborate with Seabourn's other agency partners to tell the story about the six-star ultra-luxury cruise space and help people "re-think and re-imagine what a cruise can be."